日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PC

(501)

2014年11月7日(金) 16:00 〜 18:00 501 (5階)

[PC073] 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校におけるキャリアガイダンスと就職支援の方法

就職課・キャリアセンターの現在の取組みと課題

室山晴美1, 深町珠由1 ((独)労働政策研究・研修機構)

キーワード:就職支援, キャリアガイダンス, 高等教育課程

問 題・目 的
大学等の高等教育機関への進学率は平成25年度には55.1%となり,平成17年度以降,高校卒業後,高等教育課程に進む生徒が5割を超える状況が続いている。進学率の上昇とともに高等教育機関に入学する学生の意識が多様化していることから,大学等での学生に対する体系的な職業意識啓発の重要性が認識され,平成23年度には大学におけるキャリア教育が義務化されるなど,在学中から職業や将来のキャリア設計に対する意識を高めるような働きかけを学生に対して提供するようなシステム作りが求められるようになった。そこで,大学・短期大学・高等専門学校・専門学校におけるキャリアガイダンスや就職支援の現状と課題を明らかにすることを目的として,就職課・キャリアセンターに対する調査を実施し,結果をとりまとめた(労働政策研究・研修機構,2014)。本稿では,重点課題に関する回答について結果を報告する。

方 法
調査対象:大学(1071箇所),短期大学(370箇所),高等専門学校(62箇所),専門学校(341箇所)に調査票を郵送した。専門学校以外は全数調査とし,同一校が複数キャンパスをもつ場合はそれぞれに送付した。
回収率:回収は郵便とWEB入力の両方で行い,学校実数に対する回収率は大学63.5%(459校),短期大学51.2%(177校),高等専門学校89.5%(51校),専門学校23.3%(77校)となった。
実査期間:平成25年8月下旬~9月中旬。
設問内容:具体的な就職支援の内容,学生の適性・個性理解のためのツールの活用とニーズ,職業情報・求人情報の活用,就職課・キャリアセンターの重点課題と体制に関する設問を用意した。
結 果・考 察
現在あるいは中長期的に取り組んでいる重点課題を選択肢の中から複数回答可で選んでもらった問いに対する選択率をみると,どの学校種でも重視されていたのは,“就活意欲の低い学生や就職困難な学生への呼びかけやアプローチ”,“低学年からのキャリアに対する意識づけ”となった(Figure 1)。自ら就職活動を積極的に行う学生と,意欲がなく就職活動が難しい学生の二極化がみられるようで,後者への対応が課題となっている。学校種によって選択率に違いがみられた項目もあり,高等専門学校は,大学,短期大学に比べ,全体として多くの項目で選択率が低かった。重点課題以外の設問に対する回答をみても,高等専門学校や専門学校では大学,短期大学とやや異なる傾向がみられ,入学時点から卒業後の進路や職業がある程度方向付けられている場合とそうでない場合とで学生の意識そのものに差があり,それに応じて支援のあり方も異なっていることが示唆された。
引 用 文 献
労働政策研究・研修機構 (2014). 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校におけるキャリアガイダンスと就職支援の方法 ―就職課・キャリアセンターに対する調査結果―, JILPT調査シリーズ No.116.