日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PC

(501)

2014年11月7日(金) 16:00 〜 18:00 501 (5階)

[PC084] 小学生用拒絶感受性尺度の作成

三島浩路 (中部大学)

キーワード:小学生, 友人関係, 排斥

問 題
小学校高学年の拒絶感受性を測定する尺度を作成し,信頼性・安定性の検証を行う。Downey & Feldman(1996)は,他者から拒絶されることを不安感を伴って予期しやすく,拒絶されることに敏感であり,拒絶に対して過剰に反応する個人の特性と,拒絶感受性を定義している。尺度の作成にあたっては,この定義を参考にした。
方 法
対象:A市内の3小学校に在籍する小学4~6年生392人(4年生:61人・5年生:142人・6年生:189人)を対象に調査を行い,欠損値の無い357人(男子166人 女子191人)のデータを分析した。
時期:2013年6・7月に調査を実施した。信頼性を確認するために2回の調査を行った一つの小学校では,第2回目の調査を2014年1月に実施した。
調査内容: Downey, Lebolt, Rincon, & Freitas(1998)が開発したCRSQ(Children's Rejection Sensitivity Questionnaire)等を参考に,小学校教師5人の協力を得て,日本の一般的な小学生になじむように,小学生の生活場面を想定し,「仲間からの意図的な拒否を憶測する」「仲間関係に関する不安」「仲間からの拒絶に対する敵意」という3側面から拒絶感受性を測定するための17項目を作成した。
尺度の妥当性を検証するために,階層型学級適応感尺度(三島, 2006)・仲間集団指向性尺度(三島,2008),伊藤・松井(2001)が開発した「学級風土質問紙」を参考にして学級の排他的な雰囲気を測定する5項目を用いた。調査対象の一つの小学校の学級担任6人に,第2回の調査時点で,直接的攻撃性・関係攻撃性という2観点から学級のすべての児童を5段階で評価させた。
結 果
拒絶感受性原尺度17項目の因子分析
探索的因子分析を行った後,検証的因子分析を行い(GFI=.93, AGFI=.91, CFI=.93, RMSEA=.058),3因子解を採用した。第1因子を「対人関係の不安定感・拒絶の予期」因子,第2因子を「拒絶に対する不安・過敏」因子,第3因子を「拒絶に対する怒り・反撃」因子と解釈した。
併存的妥当性の検証
「対人関係の不安定感・拒絶の予期」因子得点と,排他的な学級雰囲気得点との間には,比較的強い相関(r=.49)がみられ,階層型学級適応感尺度の友人適応得点との間にも比較的強い負の相関(r=-.47)がみられた。「拒絶に対する不安・過敏」因子得点と,独占的な親密関係指向得点との間には,比較的強い相関(r=.42)がみられ,階層型学級適応感尺度の心身の不健康得点と間にも比較的強い相関(r=.58)がみられた。「拒絶に対する怒り・反撃」因子得点と,教師評定による直接的攻撃性(r=.22,n=152,p<.01)・関係攻撃性との間(r=.36,n=152, p<.001)に,弱いながらも有意な相関がみられ,尺度の併存的妥当性が示唆された。
尺度の安定性の検証
2回の調査に回答した児童(n=152)のデータを基にして相関係数を算出した結果,3つの因子すべてに,比較的強い相関がみられ(r≧.50),尺度の安定性が示唆された。
※本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(C)課題番号25380898)の助成を受けた。