[PC094] 教育実習前後の教育実習に対する心理の変化
キーワード:教育実習, 心理の変化, 女子大学生
不安を抱いて教育実習に赴く学生たちにとって,どのような学びを事前に得てもらうことが効果的なのだろうか。また教育実習の後に自信を無くしてしまった学生たちに対して,どのような支援を行えばよいのであろうか。先行研究においては教育実習中の不安やストレス等を扱ったものが一定数存在し(大野木・宮川,1996など),不安解消プログラムの必要性が言及されているものの,実際の心理的介入について扱ったものは数少ない。教育実習不安は女性の方が高いと言われていることから,本研究では女子大学生を対象とし,より効果的に教育実習生を支援できるような授業開発を行うために,まずは教育実習に関わる学生たちの現状分析を行いたい。その際,質問紙調査のほか,自由記述および半構造化インタビューを併用することで,より丁寧に教育実習の前後における心理の変化とその理由をとらえたいと考える。
【 方 法 】
対象者 教育実習を終えた大学4年生(女子19名) を対象とした。
質問紙 教育実習の前後において,心理の変化を捉えるための調査を実施した。回答方法は,全42項目について,「とてもそう思う[1]」から「全くそう思わない[7]」までの7段階で回答を求めるものであった。回答に対して[ ]内の得点が順に与えられた。さらに,各項目について,その選択理由の自由記述を求めた。
インタビュー 協力の同意を得た2名を対象に,インフォームドコンセントを書面で取り,1回50分~90分の範囲で2回の面接を行った。半構造化インタビューを用い,質問項目の中から自由に選択し,教育実習を通しての変化を語ってもらった。
【 結果と考察 】
教育実習前後の心理の変化 教育実習前後における評価得点を対応のあるt検定により比較したところ,以下の12項目において,教育実習前よりも教育実習後の得点が有意に高くなっていることが示された。①「優しい」(t(16)= 3625, p<.05),②「面白い」(t(16)= 4.411, p<.001),③「楽しい」 (t(16)= 4.359, p<.001),④「あたたかい」 (t(16)= 4.311, p<.05), ⑤「明るい」(t(16)= 3.833, p<.05), ⑥「やりがいがある」(t(16)=3.781, p<.05),⑦「おおらか」 (t(16)= 3.710, p<.05),⑧「純粋な」 (t(16)=3.779, p<.05),⑨「親しみがある」(t(16)= 4.197, p<.05),「頼りになる」(t(16)= 3.312, p<.05),⑪「生き生きとした」(t(16)= 3.917, p<.05),⑫「公平な」(t(16)=3.305, p<.05)。堅苦しい,無責任な,といったネガティブな表現に関しては事前事後の差が出ず,上記のようなポジティブな心理状態が増加する傾向にあった。
自由記述の分析 項目ごとに,選択理由に対する自由記述の分析を行った。教育実習前よりも教育実習後の得点が有意に高かった12項目において重複が多かった記述をまとめてみると,以下のようなものが見出された。①厳しさも必要である,周りがあたたかかった。②やりがいを感じた,生徒の個性に触れることができた,生徒とのかかわりに充実感をもてた,いろいろな人と関われた。③工夫することの楽しさ,授業をすることの楽しさ。④先生も生徒もあたたかく接してくれた,まわりのあたたかさに助けられた。⑤明るく接するように心がけた。⑥生徒の成長にやりがいを感じた,経験したからこそやりがいを感じた。⑦おおらかでいたいと感じた。 ⑧生徒たちの純粋さ。⑨親しみやすい先生であろうとした,先生や生徒と関わり楽しみが湧いた。⑩先生方のフォローがあった,頼りになる先生になりたい。⑪生徒たちが生き生きとしていた,自分が生き生きしなくてはならない。⑫公平さは必要である,公平に接する難しさ,実際の現場が公平だった。
インタビューによる語り 教育実習後の得点が有意に高くなった項目と関連する語りを見てみると,たとえば②「面白い」に関しては,「指導案を考えていく中で生徒の反応をある程度予測するが,本番では予想外の反応を示す場合が多くある。そういった反応は授業を進める上で怖い存在でもあるが,一方で自分の説明よりもうまく周りを納得させたりしていてこちらも学ぶ点があり,とても面白かった。」といった語りが見られた。
詳細な記述や語りから,学生たちが教育実習の場でさまざまな課題に直面しては,解決に努力した具体的な姿が浮かび上がってきた。なかでもポジティブな心理状態を増加させる背景としては,「他者のコミュニケーション」への言及が多い傾向がみられたことから,現場における教師や生徒等との関係性が教育実習生の心理の変化に大きな影響を与えていることが示唆されたといえるだろう。
【 方 法 】
対象者 教育実習を終えた大学4年生(女子19名) を対象とした。
質問紙 教育実習の前後において,心理の変化を捉えるための調査を実施した。回答方法は,全42項目について,「とてもそう思う[1]」から「全くそう思わない[7]」までの7段階で回答を求めるものであった。回答に対して[ ]内の得点が順に与えられた。さらに,各項目について,その選択理由の自由記述を求めた。
インタビュー 協力の同意を得た2名を対象に,インフォームドコンセントを書面で取り,1回50分~90分の範囲で2回の面接を行った。半構造化インタビューを用い,質問項目の中から自由に選択し,教育実習を通しての変化を語ってもらった。
【 結果と考察 】
教育実習前後の心理の変化 教育実習前後における評価得点を対応のあるt検定により比較したところ,以下の12項目において,教育実習前よりも教育実習後の得点が有意に高くなっていることが示された。①「優しい」(t(16)= 3625, p<.05),②「面白い」(t(16)= 4.411, p<.001),③「楽しい」 (t(16)= 4.359, p<.001),④「あたたかい」 (t(16)= 4.311, p<.05), ⑤「明るい」(t(16)= 3.833, p<.05), ⑥「やりがいがある」(t(16)=3.781, p<.05),⑦「おおらか」 (t(16)= 3.710, p<.05),⑧「純粋な」 (t(16)=3.779, p<.05),⑨「親しみがある」(t(16)= 4.197, p<.05),「頼りになる」(t(16)= 3.312, p<.05),⑪「生き生きとした」(t(16)= 3.917, p<.05),⑫「公平な」(t(16)=3.305, p<.05)。堅苦しい,無責任な,といったネガティブな表現に関しては事前事後の差が出ず,上記のようなポジティブな心理状態が増加する傾向にあった。
自由記述の分析 項目ごとに,選択理由に対する自由記述の分析を行った。教育実習前よりも教育実習後の得点が有意に高かった12項目において重複が多かった記述をまとめてみると,以下のようなものが見出された。①厳しさも必要である,周りがあたたかかった。②やりがいを感じた,生徒の個性に触れることができた,生徒とのかかわりに充実感をもてた,いろいろな人と関われた。③工夫することの楽しさ,授業をすることの楽しさ。④先生も生徒もあたたかく接してくれた,まわりのあたたかさに助けられた。⑤明るく接するように心がけた。⑥生徒の成長にやりがいを感じた,経験したからこそやりがいを感じた。⑦おおらかでいたいと感じた。 ⑧生徒たちの純粋さ。⑨親しみやすい先生であろうとした,先生や生徒と関わり楽しみが湧いた。⑩先生方のフォローがあった,頼りになる先生になりたい。⑪生徒たちが生き生きとしていた,自分が生き生きしなくてはならない。⑫公平さは必要である,公平に接する難しさ,実際の現場が公平だった。
インタビューによる語り 教育実習後の得点が有意に高くなった項目と関連する語りを見てみると,たとえば②「面白い」に関しては,「指導案を考えていく中で生徒の反応をある程度予測するが,本番では予想外の反応を示す場合が多くある。そういった反応は授業を進める上で怖い存在でもあるが,一方で自分の説明よりもうまく周りを納得させたりしていてこちらも学ぶ点があり,とても面白かった。」といった語りが見られた。
詳細な記述や語りから,学生たちが教育実習の場でさまざまな課題に直面しては,解決に努力した具体的な姿が浮かび上がってきた。なかでもポジティブな心理状態を増加させる背景としては,「他者のコミュニケーション」への言及が多い傾向がみられたことから,現場における教師や生徒等との関係性が教育実習生の心理の変化に大きな影響を与えていることが示唆されたといえるだろう。