日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PD009] 生徒と教師の人間関係の親密度と生徒のいじめ介入の関係の研究

元笑予 (東京学芸大学)

キーワード:生徒と教師の人間関係, 親密度, いじめ介入

問題と目的
いじめは,いかなる時代のいかなる国にいつの時代も存在してきた。山崎(1996)は,加害者や被害者の当事者ではなく,それを取り巻く観衆・傍観者である第三者について,なぜ彼らが被害者に対して援助しないのか,その「援助抑制要因」についての研究を行っている。その結果,学年や性の違いによって有意な差を示すことを明らかにした。本研究では,この点を考慮した上で,傍観者の「援助抑制要因」を明らかにするために,学年と性の要因も考慮する。また,調査によると,教師の対応の仕方によって子どもとの人間関係が変化することを示す研究がある(秦,1994)。そこで,本研究では検討することを目的にする。先生との会話を振り返って,嬉しかったことと辛かったこと等の経験を聞き,先生とのいじめ介入にどんな関わりがあるかを検討したいことである。以上のことを考慮して,本研究の仮説を以下の3つにまとめる:
仮説①先生とよく話す子どもの方が話さない子どもよりいじめが起こった時に先生に相談しやすい。
仮説②先生によく褒められる子どもの方が褒められない子どもよりいじめが起こった時に先生に相談をしやすい。
仮説③いじめの種類(言葉的いじめ・人間関係いじめ)によっていじめ相談をしやすさが異なる。
方法
調査期日 調査は2013年9月に実施した。
調査対象 日本埼玉県立高等学校113名(男子55名,女子58名)で,平均年齢16.84歳であった。
また,中国天津市重点高等学校100名,(男子48名,女子52名)で,平均年齢16.43歳であった。
質問紙の作成
本調査では,学校生活の中では先生との会話の振り返りと先生とのいじめ介入関係に関わる項目を作成し,質問紙にまとめた。調査内容は二つの部分があり,「第1部分 自分が過ごした学校生活を思い出して,自分の思いにあてはまる項目を一つ選ぶこと」と「第2部分 学校生活について聞くこと」であった。質問項目への回答は「あてはまらない」,「あまりあてはまらない」,「ややあてはまる」,「あてはまる」の4点尺度を用いた。
結果と考察
子どもが,小学生・中学生・高校生の時に,先生と話す頻度が多いか少ないかによって,自分あるいは友達のいじめの問題で先生に相談する頻度に違いがあるか否かを吟味した。性,接触頻度の大小を独立変数にし,中学・高校で自分のことあるいは友人のことで相談した頻度を従属変数(2水準)として,経時的分散分析を行った。その結果を例としてあげると,日本の中学校3年生の褒められ頻度×学校の交互作用が有意であった(F(1,80)=7.44, p<0.01)(図1)。先生から褒められ頻度が多い人は,中学校と高校で先生に友人のことで相談する頻度に大きな違いがあった。