[PD010] サークル集団への態度が問題状況の認知に与える影響
Keywords:大学生, サークル集団, 問題状況
問題
多くの大学生がサークル集団に所属し,多様な関わり方をしながら,サークル集団で活動している。サークル集団で活動をするうえで,学生は様々な問題状況に直面する(高田, 2013; 横山, 2011)。高田(2013)は,サークル集団の問題状況として,サークル集団での活動を維持する困難さを表す“活動維持の困難さ(問題1)”集団を軽んじている成員を問題視する“集団の軽視(問題2)”,他人任せの行動をする学生を問題視する“所属成員の二極化(問題3)”,運営の統率力の低さを表す“統率力のなさ(問題4)”,様々な価値観の所属成員がいることを問題視する“所属成員の多様性(問題5)”の5つの下位側面を導出した。上記のような問題状況を解決することで,円滑なサークル集団での活動が運営されると考えられる。
しかし,ある学生にとって問題と認識される状況が,別の学生にとっても問題であると認識されるわけではないと考えられる。つまりサークル集団とどのような関わり方をする学生が,サークル集団のどの問題状況を捉えるかを検討することで,サークル集団を円滑に運営する一助になると考えられる。そのため,本研究では大学生が抱くサークル集団への態度が問題状況の認知に与える影響について検討することを目的とした。
方法
調査時期・対象者 2013年11月から12月にかけて,25のサークル集団に所属する大学生371名(男性237名,女性131名,不明,3名; 20.22(SD=1.57)歳)に調査を実施した。
質問紙構成 質問紙構成は下記の通りである。1 ) サークル集団の属性(集団形態,創立年数,活動頻度,年間費用)、2) . サークル集団における問題状況は,高田(2014)による尺度を用いた。24項目に対して多項目選択式により回答を求めた。3). 高田(2012)によるサークル集団態度尺度を用いた。 集団に対して愛着を抱く“集団への親近”,集団に積極的に働きかけようとする“集団への責務”,集団から離れようとする“集団からの離脱”,周りの雰囲気に合わせようとする“集団への日和見”,集団での不満を我慢する“集団への妥協”,集団に反感を抱く“集団での反抗”の6つの下位側面により構成される。30項目に対して5件法により回答を求めた。
結果と考察
大学生サークル集団の問題状況 サークル集団における問題状況のカテゴリカル因子分析を実施した。その結果,適合度指標はχ2 (220)=295(n.s.),CFI=.959, RMSEA=.030,WRMR=.914であり,十分な適合度指標が得られた。
態度が問題状況の認知に及ぼす影響 次にサークル集団への態度を独立変数,問題状況を従属変数とする重回帰分析を実施した(Table1)。その結果,集団への親近は,活動維持の困難さ,集団の軽視,統率力のなさ,所属成員の多様性という問題の認知を抑制していた。つまり集団に対して,愛着を抱いているほどサークル集団に問題がないと認知していた。
一方,集団への反抗は,集団の軽視,集団成員の二極化,統率力のなさ,所属成員の多様性という問題の認知を促進していた。つまり集団に反感を抱くほど,問題状況を認知していた。また集団への責務は活動維持の困難さを促進していた。したがって,運営に携わる学生と集団に反感を抱く学生では問題状況の認識が異なることが明らかになった。
謝辞 本研究の実施にあたりご指導を頂いた松井豊教授(筑波大学)、調査に協力して頂いた池永将和くん・仲居建人くん、牧山智樹君に感謝致します。
多くの大学生がサークル集団に所属し,多様な関わり方をしながら,サークル集団で活動している。サークル集団で活動をするうえで,学生は様々な問題状況に直面する(高田, 2013; 横山, 2011)。高田(2013)は,サークル集団の問題状況として,サークル集団での活動を維持する困難さを表す“活動維持の困難さ(問題1)”集団を軽んじている成員を問題視する“集団の軽視(問題2)”,他人任せの行動をする学生を問題視する“所属成員の二極化(問題3)”,運営の統率力の低さを表す“統率力のなさ(問題4)”,様々な価値観の所属成員がいることを問題視する“所属成員の多様性(問題5)”の5つの下位側面を導出した。上記のような問題状況を解決することで,円滑なサークル集団での活動が運営されると考えられる。
しかし,ある学生にとって問題と認識される状況が,別の学生にとっても問題であると認識されるわけではないと考えられる。つまりサークル集団とどのような関わり方をする学生が,サークル集団のどの問題状況を捉えるかを検討することで,サークル集団を円滑に運営する一助になると考えられる。そのため,本研究では大学生が抱くサークル集団への態度が問題状況の認知に与える影響について検討することを目的とした。
方法
調査時期・対象者 2013年11月から12月にかけて,25のサークル集団に所属する大学生371名(男性237名,女性131名,不明,3名; 20.22(SD=1.57)歳)に調査を実施した。
質問紙構成 質問紙構成は下記の通りである。1 ) サークル集団の属性(集団形態,創立年数,活動頻度,年間費用)、2) . サークル集団における問題状況は,高田(2014)による尺度を用いた。24項目に対して多項目選択式により回答を求めた。3). 高田(2012)によるサークル集団態度尺度を用いた。 集団に対して愛着を抱く“集団への親近”,集団に積極的に働きかけようとする“集団への責務”,集団から離れようとする“集団からの離脱”,周りの雰囲気に合わせようとする“集団への日和見”,集団での不満を我慢する“集団への妥協”,集団に反感を抱く“集団での反抗”の6つの下位側面により構成される。30項目に対して5件法により回答を求めた。
結果と考察
大学生サークル集団の問題状況 サークル集団における問題状況のカテゴリカル因子分析を実施した。その結果,適合度指標はχ2 (220)=295(n.s.),CFI=.959, RMSEA=.030,WRMR=.914であり,十分な適合度指標が得られた。
態度が問題状況の認知に及ぼす影響 次にサークル集団への態度を独立変数,問題状況を従属変数とする重回帰分析を実施した(Table1)。その結果,集団への親近は,活動維持の困難さ,集団の軽視,統率力のなさ,所属成員の多様性という問題の認知を抑制していた。つまり集団に対して,愛着を抱いているほどサークル集団に問題がないと認知していた。
一方,集団への反抗は,集団の軽視,集団成員の二極化,統率力のなさ,所属成員の多様性という問題の認知を促進していた。つまり集団に反感を抱くほど,問題状況を認知していた。また集団への責務は活動維持の困難さを促進していた。したがって,運営に携わる学生と集団に反感を抱く学生では問題状況の認識が異なることが明らかになった。
謝辞 本研究の実施にあたりご指導を頂いた松井豊教授(筑波大学)、調査に協力して頂いた池永将和くん・仲居建人くん、牧山智樹君に感謝致します。