日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PD023] 看護学生の戴帽式前後の気持ちの変化

石井あゆみ1, 藤田和加子1, 徳珍温子1 (大阪信愛女学院短期大学)

キーワード:看護学生, 戴帽式

■目的
看護教育における戴帽式について,教育課程の改正や看護の現場でナースキャップが廃止されている現状もあり,学校行事として行う意義や目的を見直し、廃止している学校もある。戴帽式はほとんどの看護大学(看護学科)では行っておらず,短期大学の約半数,看護専門学校の多くは依然実施しているという山﨑の報告がある。A短期大学はカトリックミッション校で、2009年に看護学科が開設され、1期生より戴帽式を行っている。戴帽式のルーツは,ヨーロッパの宗教的儀式であるローマ教皇の「帝冠式」やカトリックの尼僧になるための「入信式」と考えられている。カトリック精神をモットーとしているA短期大学において学生が戴帽式の前後で,どのような気持ちの変化があるのかを知り、今後の戴帽式のあり方について検討したい。

■方法
〈対象者〉A短期大学3回生戴帽式直後の同意が得られた8人の学生
〈データ収集期間〉平成25年5月21日~27日
〈調査方法〉無記名式の質問調査紙
〈分析方法〉質問内容を「戴帽式前と後で,自分の気持ちにどんな変化がありましたか」とし,自由記述してもらった内容を質的帰納方法により分析した。1)場面の意味を損なわないように整理しコードを作成した。2)コードを解釈し,類似性のあるものでまとまりを作りサブカテゴリを命名した。3)コードからサブカテゴリ,カテゴリと抽象化を進めた。4)データ収集,分析過程において,信頼性を高めるために指導者の助言を得つつ評議を繰り返した。
〈倫理的配慮〉研究参加は対象者の自由意思に基づくものであり,随時同意撤回が可能であること,その場合でも何ら不利益を被ることはないこと,個人情報は個人が特定されないように守秘し,研究及び学会発表以外の目的では使用しないこと,研究終了後は全ての情報を破棄することを口頭と書面にて説明した。


■結果
看護学生の戴帽式前後の気持ちの変化について質問調査紙でとらえた総コード93を抽出した。分析の結果を表1に示す。

■考察
A短期大学では、戴帽式を3年生の領域実習に行く前の5月に行っている。戴帽式に臨むに当たり、学生はナイチンゲール誓詞ではなく自分たちで「誓いの言葉」を2年生時後期から考え、式中に斉唱している。2年生から準備を行っているためか、看護の仕事に対する心構えを改めて考える機会となり、戴帽式がうれしいという気持ちや、改めて頑張ろう、多くの人に支えられて、ここまで来た、が表出された。領域実習の開始直前であることを考えると、大変だけど支えてくれた方たちのためにも頑張ろうという意欲の向上の表れではないかと考える。
反面、学校行事であり気持ちの変化は特になく、戴帽式にかけた時間を目の前にある実習のための時間に充てたいという気持ちを表出した者もいた。
今後の戴帽式ではカトリックミッション校として戴帽式を行う意義を学生に説明し,戴帽式に対する動機づけを行うことが必要と考えられる。