[PD031] 食スタイルに関する心理および行動パターン分析(1)
想起された共食と一人での食事場面の比較検討
キーワード:共食, 食行動, 自伝的記憶
問題と目的
日常生活で、誰かと一緒に食事する場面(2人~大人数)や一人で食事する場面がある。食事場面において、他者がいることが良い結果となる場合もあるが、一人での食事がよいこともある。
本研究では、食事形態や状況の違いが個人にいかなる影響を及ぼすか、また、その影響は何に左右されるのか、質的?量的なデータ分析と日常の行動や意識のパターン等との関連から詳細な分析を行い、「食」を研究テーマとする隣接する多くの学問領域に対して、心理学からの基礎的資料の提供を目指す。
人の「共同」と「単独」での行動の違いは、古くからの社会心理学の一課題ではあるが、現在、食行動においても、『食育』という形で、他の人と一緒に食事を摂る共食のあり方や孤食、個食などの食形態などが重要な検討課題となっている。
この食育については、家庭での取組への支援、食に関する科学的な知識の普及と個人の行動につながる仕組みづくり、食育を取り巻く社会環境に対するアプローチ、食育関係機関と保育所、幼稚園、学校等の連携強化などが求められており、今後、高齢者、男性への支援も重要な課題として位置づけられている。
他者とともにいる環境では肯定的な結果だけではなく、ネガティブ(抑制的)な反応(成果)が引き起こされる場合(社会的抑制)もある。将来的には、「共食」や「一人での食事」といった食行動における種々の状況要因や人間関係について整理し、食事のおいしさの評価や満足との関連や健康的な食事環境を模索し、日常の食生活の改善への情報提供をおこなう。人とともに行動すること(共行動)の効果や、現在の「食行動」の多様なタイプ、その社会的機能について、食の教育との関連から、従来の理論を再検討しながら、重要な人の基本活動の場である「食事場面」について考察する。
方法
質問紙調査法(無記名)。調査への参加に同意した協力者(4年制男女大学生:106名)に対し、自由再生法(自由記述)による「共食」と「一人での食事」
の場面におけるテキストデータを収集・整理した。
(IBMSPSS Statistics ver. 22およびText Analytics for Surveys ver.4.0.1使用)
調査内容:
(1)これまでの自分の食事場面を振り返り、次の4場面についての自由再生(想起)をおこなった。2つの食スタイル(共食/一人での食事)×2つの場面設定(よい/よくない思い出)。
(2)再生された食事場面の関連項目への回答(感情、気分、おいしさ)と個人の行動傾向などの日常パターンを測定するため、NEO-FFI項目への回答を実施した。
結果と考察
調査協力者属性
(1)性別:女性62名 (58.5%),男性44名 (41.5%)
(2)年齢:平均18.8歳 (range:18-22歳,
SD=0.94)
(3)居住形態1:自宅16.0%,下宿/アパート70.8%,
寮12.3%,不明0.9%
(4)居住形態2:同居 16.0%,一人暮らし 80.2%,
その他?不明3.8%
食スタイルの比較
共食の想起(よい思い出:ポジティブ)については、親近性のある大学生期が最も多く、次いで高校時代、小学生時期であった。また、共食の相手は、友人が最も多く、次いで、家族となっている。食事相手との親しさでは、同じ共食のスタイルであっても、ネガティブ場面よりも、有意に高く評定されている(p<0.01)。
共食についてのネガティブ想起(よくない思い出)では、最も多いのが大学生期、次に高校時代であるが、ポジティブ場面と違って中学生の時期が多くとりあげられている。食事相手は、共食のポジティブ場面と同様である。おいしさや満足度評価では、共食(ポジティブ)や一人での食事のよい思い出よりも、有意に低く評価されている(多重比較,いずれも,p<0.01)。
特に、食事の楽しさの評価では、共食(ポジティブ場面)での評価が、他のどの場面よりも有意に高く評定されている(多重比較 ,p<0.01)。
日常生活で、誰かと一緒に食事する場面(2人~大人数)や一人で食事する場面がある。食事場面において、他者がいることが良い結果となる場合もあるが、一人での食事がよいこともある。
本研究では、食事形態や状況の違いが個人にいかなる影響を及ぼすか、また、その影響は何に左右されるのか、質的?量的なデータ分析と日常の行動や意識のパターン等との関連から詳細な分析を行い、「食」を研究テーマとする隣接する多くの学問領域に対して、心理学からの基礎的資料の提供を目指す。
人の「共同」と「単独」での行動の違いは、古くからの社会心理学の一課題ではあるが、現在、食行動においても、『食育』という形で、他の人と一緒に食事を摂る共食のあり方や孤食、個食などの食形態などが重要な検討課題となっている。
この食育については、家庭での取組への支援、食に関する科学的な知識の普及と個人の行動につながる仕組みづくり、食育を取り巻く社会環境に対するアプローチ、食育関係機関と保育所、幼稚園、学校等の連携強化などが求められており、今後、高齢者、男性への支援も重要な課題として位置づけられている。
他者とともにいる環境では肯定的な結果だけではなく、ネガティブ(抑制的)な反応(成果)が引き起こされる場合(社会的抑制)もある。将来的には、「共食」や「一人での食事」といった食行動における種々の状況要因や人間関係について整理し、食事のおいしさの評価や満足との関連や健康的な食事環境を模索し、日常の食生活の改善への情報提供をおこなう。人とともに行動すること(共行動)の効果や、現在の「食行動」の多様なタイプ、その社会的機能について、食の教育との関連から、従来の理論を再検討しながら、重要な人の基本活動の場である「食事場面」について考察する。
方法
質問紙調査法(無記名)。調査への参加に同意した協力者(4年制男女大学生:106名)に対し、自由再生法(自由記述)による「共食」と「一人での食事」
の場面におけるテキストデータを収集・整理した。
(IBMSPSS Statistics ver. 22およびText Analytics for Surveys ver.4.0.1使用)
調査内容:
(1)これまでの自分の食事場面を振り返り、次の4場面についての自由再生(想起)をおこなった。2つの食スタイル(共食/一人での食事)×2つの場面設定(よい/よくない思い出)。
(2)再生された食事場面の関連項目への回答(感情、気分、おいしさ)と個人の行動傾向などの日常パターンを測定するため、NEO-FFI項目への回答を実施した。
結果と考察
調査協力者属性
(1)性別:女性62名 (58.5%),男性44名 (41.5%)
(2)年齢:平均18.8歳 (range:18-22歳,
SD=0.94)
(3)居住形態1:自宅16.0%,下宿/アパート70.8%,
寮12.3%,不明0.9%
(4)居住形態2:同居 16.0%,一人暮らし 80.2%,
その他?不明3.8%
食スタイルの比較
共食の想起(よい思い出:ポジティブ)については、親近性のある大学生期が最も多く、次いで高校時代、小学生時期であった。また、共食の相手は、友人が最も多く、次いで、家族となっている。食事相手との親しさでは、同じ共食のスタイルであっても、ネガティブ場面よりも、有意に高く評定されている(p<0.01)。
共食についてのネガティブ想起(よくない思い出)では、最も多いのが大学生期、次に高校時代であるが、ポジティブ場面と違って中学生の時期が多くとりあげられている。食事相手は、共食のポジティブ場面と同様である。おいしさや満足度評価では、共食(ポジティブ)や一人での食事のよい思い出よりも、有意に低く評価されている(多重比較,いずれも,p<0.01)。
特に、食事の楽しさの評価では、共食(ポジティブ場面)での評価が、他のどの場面よりも有意に高く評定されている(多重比較 ,p<0.01)。