日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PD035] 大学生のチームワークに関するスキルを向上させるトレーニングの有効性(3)

スキルの持続性の検討

太幡直也 (常磐大学)

キーワード:チームワーク, スキル, トレーニング

大学生は,就職後,さまざまな者とチームワークを発揮する能力が必要となる。太幡(2013)は,大学生にチームワークに関するスキルを向上させるトレーニングを実施した。そして,トレーニング実施条件のみで,チームワークを構成する能力を測定する尺度(相川・髙本・杉森・古屋, 2012),社会的スキル(菊池, 1988)の得点が向上したことを示した。しかし,トレーニングの有効性が持続するか否かは検証されていない。
そこで,本研究では,太幡(2013)のトレーニングの有効性が持続するか否かを検討することを目的とする。具体的には,太幡(2013)の調査対象者に,トレーニング実施から約2年後に,チームワークを構成する能力を測定する尺度(相川他, 2012),社会的スキル(菊池, 1988)に回答するように求める。トレーニングの有効性が持続するならば,トレーニング実施条件の方が非実施条件よりも上記の尺度の得点が高いと予測される。
方法
調査対象者 太幡(2013)の調査対象者(49名)のうちの46名(男性7名,女性39名,平均年齢22.09±0.46歳)に,2014年3月に実施した。
実験計画 トレーニング(実施,非実施)の実験参加者間要因であった。実施条件の調査対象者には,2012年4~7月に,授業内でトレーニングを実施した。一方,非実施条件の調査対象者は,上記の授業を受講していなかった。
質問紙の構成 菊池(1988)の社会的スキル尺度(KiSS-18)に5件法で,相川他(2012)のチームワークを構成する能力を測定する尺度に6件法で回答するように求めた(α=.64~.94)。下位尺度ごとに,あてはまると回答するほど得点が高くなるように得点を算出した。
結果と考察
条件ごとの得点の平均値をTable 1に示す。それぞれの得点を条件間で比較したところ,10尺度で有意差,3尺度で有意傾向がみられた。いずれもトレーニング実施条件の方が非実施条件よりも得点が高かったため,予測は概ね支持された。また,これらの尺度の多くは,太幡(2013)において実施条件のみで得点が上昇していた尺度であった。したがって,太幡(2013)のトレーニングの有効性はある程度持続すると考えられる。