The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PD037] 青年期女子における「居場所」(安心できる人)の評定

抑うつに耐える力との関連

岡村季光 (奈良学園大学)

Keywords:居場所(安心できる人), 抑うつに耐える力, 青年期女子

目 的
岡村(2009, 2013)は安心できる人の評定とひとりで過ごす感情・評価との関係を検討した結果,“自分ひとり”の場合の評定と「孤独・不安」尺度は中程度の負の相関があり,“自分ひとり”の安心感が高い者ほど孤独感や不安感は低かった。また,“自分ひとり”の評定とひとりで過ごすことの充実感・満足感も弱い正の相関があり,ひとりで過ごすことに必ずしもネガティブな感情を抱いていないことが示唆された。増淵(2013)は大学生にとってのひとりの時間は「自己内省」の意味を持つとしている。また,個人的活動に没頭することで充実・満足感を得られ,自我同一性形成に役立つとしている。
本研究では自身の問題を直視し,受け入れがたい情緒を適応的に処理していく力(河野, 2003, 2006)である「抑うつに耐える力」に注目し,安心できる人との関連について検討することを目的とする。
方 法
調査対象 大学・専門学校生女子100名。平均年齢は19.8歳。
調査内容 a)危機的場面における「居場所」(安心できる人)調査 “あなたは以下の状況になった時,それぞれどのように感じますか”という教示を行い,“困ったり不安になったりした時”(危機的場面)を想定。“自分ひとり”“父親”“母親”“きょうだい”“現学校以前の友人”“現学校以降の友人”“彼氏”といる場面を設定した。 b)抑うつに耐える力尺度(近藤他, 2008) “孤独に耐える力”4項目(例 一人でいてもさびしくなったり,不安になったりしない),“不安に向き合う力”6項目(例 不安なことがあっても,逃げたりせず,解決のために努力できる),“強がらずに自己開示する態度”4項目(例 強がらずに自分の弱さも人に見せる)。計14項目。
調査手続 1)危機的場面における「居場所」(安心できる人)調査 “自分ひとり”“父親”“母親”“きょうだい”“現学校以前の友人”“現学校以降の友人”“彼氏”といる場面においてそれぞれ“5:非常に安心できる”から“1:あまり安心できない”の5件法で回答を求めた。 2)抑うつに耐える力尺度 上記b)の調査項目について“5:あてはまる”から“1:あてはまらない”の5件法で評定。
結果と考察
危機的場面における「居場所」(安心できる人)評定 “非常に安心できる”(5点)から“あまり安心できない”(1点)の得点を与え,安心できる人ごとに集計した結果,自分のみ評定が低かった(表1)。これは岡村(2012)と同様であった。
「居場所」(安心できる人)と抑うつに耐える力の関係 相関係数(r)を算出した(表2)。“自分ひとり”と“孤独に耐える力”には弱い正の相関,“以前友人”“以降友人”“彼氏”と“不安に向き合う力”には弱い正の相関であった。
さらに抑うつに耐える力の各下位尺度得点の平均を算出,平均±1/2SDを基準に高・中・低群に分類し,下位尺度ごとに3(高・中・低群)×7(安心できる人)の分散分析を行った。その結果,“自分ひとり”において“孤独に耐える力”が有意で高>低,“現学校以前の友人”“現学校以降の友人”において“不安に向き合う力”がいずれも有意で高>低(いずれもp<.05)であった。ひとりの時間を志向しつつ,友人に安心感を持つことで自身の問題を直視し不安に向き合うことが示唆された。