[PD075] 児童の自己効力感と職業観形成の関連について
Keywords:職業観, 自己効力感
目的
本研究では,児童の自己効力感と職業観との関連性をアンケート調査により検討した。
方法
対象者 沖縄県内の公立A小学校の3年~6年の児童421名(男子:217名,女子:204名)であった。
実施期間 2013年12月
調査項目
1.筆者が独自に作成した仕事・将来の夢についてのアンケート
[属性]学年・クラス・性別
(1)学校生活について(以下,Q1)
(2)自分自身について(以下,Q2)
(3)よいところや得意なことの有無について(以下,Q3)
(4)将来の夢の有無について(以下,Q4)
それぞれの問いは,「はい」もしくは「いいえ」で回答を求め,Q3以降は,その理由等を自由記述で回答を求めた、また,(1)~(4)とは別に,働く理由を記入してもらった(以下,Q5)。
2.児童用一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSESC-R:福井至ら,2002)
分析方法 各学年間の自己効力感を比較するため,GSESC-Rの総合得点,安心感,チャレンジ精神の得点から分散分析を行った。Q1からQ5までのアンケートとGSESC-Rの総合得点,下位尺度得点の安心感,チャレンジ精神の得点の関連を明らかにするためにカイ二乗検定を行い,クラメールの連関係数を求めた。
結果及び考察
児童405名(男子211名,女子194名)から回答を得た(回収率96.1%)。各学年の自己効力感を比較するために分散分析を行った(表1)。その結果,自己効力感の合計では,3年生の得点が他の学年より有意に高かった(F(3,391)=2.77,p<.05)。安心感では,学年間に有意差はみられなかった(F(3,391)=1.69,n.s.)。チャレンジ精神では,学年が上がるにつれ得点が下がっていった(F(3,391)=6.83,p<.001)。また、カイ二乗検定の結果,対象児童の自己効力感は全体的に低い結果となった(表2)。また,どの項目でも5,6年に多く有意差が出ていることから,自己効力感は,学年を追うごとに身体面・精神面での発達が影響していると考えられる。自己効力感では,チャレンジ精神が安心感・総合得点よりも有意に高く,チャレンジ精神を高めるための手立てが必要となってくる。そこで,Banduraがあげた「達成体験」と本研究から達成体験と並行して児童には「失敗体験」も必要であると考える。失敗したことに対して親や教師が丁寧にフォローをすることで児童の動機付けが高まると考えられる。この2つの体験が,自己効力感を高めたり維持したりすることにつながると考える。これらのことから,教育活動において,教師が児童との日々の関わりを大切にすることが職業観に形成において重要であると考える。
本研究では,児童の自己効力感と職業観との関連性をアンケート調査により検討した。
方法
対象者 沖縄県内の公立A小学校の3年~6年の児童421名(男子:217名,女子:204名)であった。
実施期間 2013年12月
調査項目
1.筆者が独自に作成した仕事・将来の夢についてのアンケート
[属性]学年・クラス・性別
(1)学校生活について(以下,Q1)
(2)自分自身について(以下,Q2)
(3)よいところや得意なことの有無について(以下,Q3)
(4)将来の夢の有無について(以下,Q4)
それぞれの問いは,「はい」もしくは「いいえ」で回答を求め,Q3以降は,その理由等を自由記述で回答を求めた、また,(1)~(4)とは別に,働く理由を記入してもらった(以下,Q5)。
2.児童用一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSESC-R:福井至ら,2002)
分析方法 各学年間の自己効力感を比較するため,GSESC-Rの総合得点,安心感,チャレンジ精神の得点から分散分析を行った。Q1からQ5までのアンケートとGSESC-Rの総合得点,下位尺度得点の安心感,チャレンジ精神の得点の関連を明らかにするためにカイ二乗検定を行い,クラメールの連関係数を求めた。
結果及び考察
児童405名(男子211名,女子194名)から回答を得た(回収率96.1%)。各学年の自己効力感を比較するために分散分析を行った(表1)。その結果,自己効力感の合計では,3年生の得点が他の学年より有意に高かった(F(3,391)=2.77,p<.05)。安心感では,学年間に有意差はみられなかった(F(3,391)=1.69,n.s.)。チャレンジ精神では,学年が上がるにつれ得点が下がっていった(F(3,391)=6.83,p<.001)。また、カイ二乗検定の結果,対象児童の自己効力感は全体的に低い結果となった(表2)。また,どの項目でも5,6年に多く有意差が出ていることから,自己効力感は,学年を追うごとに身体面・精神面での発達が影響していると考えられる。自己効力感では,チャレンジ精神が安心感・総合得点よりも有意に高く,チャレンジ精神を高めるための手立てが必要となってくる。そこで,Banduraがあげた「達成体験」と本研究から達成体験と並行して児童には「失敗体験」も必要であると考える。失敗したことに対して親や教師が丁寧にフォローをすることで児童の動機付けが高まると考えられる。この2つの体験が,自己効力感を高めたり維持したりすることにつながると考える。これらのことから,教育活動において,教師が児童との日々の関わりを大切にすることが職業観に形成において重要であると考える。