[PD079] 小学生・中学生の放課後の生活
放課後生活空間尺度を活用して
Keywords:小学生, 中学生, 放課後生活空間
小学生・中学生の放課後の生活
-放課後生活空間尺度を活用して-
○ 蓮見元子(川村学園女子大学) 北原靖子(川村学園女子大学)
川嶋健太郎(東海学院大学) 佐藤哲康(川村学園女子大学)
生駒 忍(川村学園女子大学)
目 的
放課後は,児童・生徒にとって,学校での学習を再確認したり,学校では与えられないさまざまな経験をすることができる自由な時間である。我々は,子どもの放課後の生活実態を知るために,小学生から大学生までを網羅する放課後生活空間尺度の完成をめざしている(生駒,蓮見,北原,川嶋,佐藤,2014)。本研究は,小学生(高学年)および中学生がどのような放課後を過ごしているのか,その生活実態を保護者(小学校高学年),小学生(高学年),中学生による評定を通して明らかにするとともに,小学生自身の評定と保護者の評定とで,差異があるかについて検討するものである。
方 法
調査対象 首都圏の市立小学校に通学する4年生から6年生の児童とその保護者171組,と都立高等学校附属中学校に通学する3年生の生徒47名。なお,保護者の回答による因子分析は首都圏の市立小学校の保護者,917名分を使用した。
調査項目 放課後生活空間尺度を構成する項目として,蓮見・他(2012)で行った調査の結果を検討し,自宅での過ごし方や学習なども含むようにした。また,放課後の子どもの生活を具体的な行動に焦点化し,中学生にも共通してみられるような放課後の行動を取り上げ,調査項目とした。各項目の評定はいずれも,この1週間の放課後(平日)にみられたものを,0日(ぜんぜん),1日(たまに),2日から3日(ときどき),4日(よく),5日(いつも)の5件法で行うものとした。
結 果
放課後生活空間尺度として検討している32項目すべてに対して,保護者(917名)(2014,生駒・他)と小学校高学年児童(118名),それぞれで,探索的因子分析(最尤法,因子数4,プロマックス法)を行った。小学校高学年を同様な方法で因子分析すると,それぞれの因子に属する項目数に多少の差異と因子順に違いがあったが,内容的にはとほとんど同じ構造となった。
32項目について,小学生の回答とその保護者の回答の相関分析を行った。「屋内で運動した」「自分の好きなことをした」「片付けなどお手伝いをした」の項目以外はすべて,.001水準での有意な相関があった。
小学生の回答と中学生の回答で各項目の平均値の差についてt検定を行った。以下におもな項目の結果を示す。(表1)
考 察
小学校高学年児童とその保護者の回答には有意な関連性があり,高学年児童は,自分の放課後の生活空間を評価することができるといえた。
高学年児童と中学生の放課後の生活では,いくつかの点で異なっていた。小学生は,友達と一緒に遊んだり、行動したり,家の手伝いをしているようであったが,中学生になると学校の勉強やクラブ活動が忙しくなるためか,放課後の生活には自由な時間や、活動を選択する余地や各自が独自に,将来役に立つようなことを勉強することはあまりないようであった。
-放課後生活空間尺度を活用して-
○ 蓮見元子(川村学園女子大学) 北原靖子(川村学園女子大学)
川嶋健太郎(東海学院大学) 佐藤哲康(川村学園女子大学)
生駒 忍(川村学園女子大学)
目 的
放課後は,児童・生徒にとって,学校での学習を再確認したり,学校では与えられないさまざまな経験をすることができる自由な時間である。我々は,子どもの放課後の生活実態を知るために,小学生から大学生までを網羅する放課後生活空間尺度の完成をめざしている(生駒,蓮見,北原,川嶋,佐藤,2014)。本研究は,小学生(高学年)および中学生がどのような放課後を過ごしているのか,その生活実態を保護者(小学校高学年),小学生(高学年),中学生による評定を通して明らかにするとともに,小学生自身の評定と保護者の評定とで,差異があるかについて検討するものである。
方 法
調査対象 首都圏の市立小学校に通学する4年生から6年生の児童とその保護者171組,と都立高等学校附属中学校に通学する3年生の生徒47名。なお,保護者の回答による因子分析は首都圏の市立小学校の保護者,917名分を使用した。
調査項目 放課後生活空間尺度を構成する項目として,蓮見・他(2012)で行った調査の結果を検討し,自宅での過ごし方や学習なども含むようにした。また,放課後の子どもの生活を具体的な行動に焦点化し,中学生にも共通してみられるような放課後の行動を取り上げ,調査項目とした。各項目の評定はいずれも,この1週間の放課後(平日)にみられたものを,0日(ぜんぜん),1日(たまに),2日から3日(ときどき),4日(よく),5日(いつも)の5件法で行うものとした。
結 果
放課後生活空間尺度として検討している32項目すべてに対して,保護者(917名)(2014,生駒・他)と小学校高学年児童(118名),それぞれで,探索的因子分析(最尤法,因子数4,プロマックス法)を行った。小学校高学年を同様な方法で因子分析すると,それぞれの因子に属する項目数に多少の差異と因子順に違いがあったが,内容的にはとほとんど同じ構造となった。
32項目について,小学生の回答とその保護者の回答の相関分析を行った。「屋内で運動した」「自分の好きなことをした」「片付けなどお手伝いをした」の項目以外はすべて,.001水準での有意な相関があった。
小学生の回答と中学生の回答で各項目の平均値の差についてt検定を行った。以下におもな項目の結果を示す。(表1)
考 察
小学校高学年児童とその保護者の回答には有意な関連性があり,高学年児童は,自分の放課後の生活空間を評価することができるといえた。
高学年児童と中学生の放課後の生活では,いくつかの点で異なっていた。小学生は,友達と一緒に遊んだり、行動したり,家の手伝いをしているようであったが,中学生になると学校の勉強やクラブ活動が忙しくなるためか,放課後の生活には自由な時間や、活動を選択する余地や各自が独自に,将来役に立つようなことを勉強することはあまりないようであった。