The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(501)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PD088] 進路選択時の自己決定と女子大生の大学適応感,親子関係について

青木多寿子1, 森田愛望2 (1.広島大学大学院, 2.唐津市立大志小学校)

Keywords:進路選択, 親子関係, 自己決定

青年期は親からの依存を脱却し,自我を確立する時期である。福島(1992)によると,高校から大学,成人にかけて,親から分離し精神的自立が有意に上昇することを報告している。
青年期の親からの自立については,多様な側面から研究がなされている。例えば水本・山根(2010)は母娘関係を4つに分類し,親子関係と自立と適応との関係を検討している。藤田・岡本(2009)は母親と娘の関係が共依存的であると自分自身の感情や価値を信頼し肯定することはできないとし,一方で娘は母親から受容されることにより,自分を肯定的にとらえることができると考えている。
しかし,親への依存をどのように脱却してきたのかに関する研究は少ない。そこで本研究では,大学生の進路選択の際の自己決定が親からの自立の大きなきっかけになるのではないかと考えた。
方 法
調査対象者 H大学・大学院の大学生,大学院生182名。(男性75名,女性115名)。年齢は19歳から34歳で平均20.73歳であった。
意思決定場面と自己決定 高校生のときに進路決定に関して,①親の干渉の程度を「かなり関与してきた」(8点)から「全く関与してこなかった」(1点)までを8段階で,②自己決定の程度を「自分で決定した」(8点)から「自分では決定していない」(1点)までを8段階で尋ねた。
親子関係の分類 「①親への信頼」「②親への服従」の2軸で4つのパターンに分けた。①は久米(2001)の作成した「依存性尺度」の下位因子「依存欲求」を測る12項目から8項目を抜粋,②は小高(2000)の作成した「親―青年関係尺度」の下位因子「親への服従」を用いた。
精神的自立 ①福島(1992)の「精神的自立尺度」の下位因子,「主体的自己」から7項目と「判断・責任性」から6項目,福島(1990)の「協調性・社会的能動性」から8項目を選んだ。
大学生活への適応 ①高橋・青木(2010)の「生活充実感尺度」8項目,鈴木・山口・根建(1997)より「対人不安」に関する5項目を実施した。
結果と考察
親の影響と自己決定 親子関係の分類は男女別に行った。今回は女子の結果を報告する。女子学生では,進路へのアドバイスは親子間のパターンで差は見られなかった。しかし,自己決定に関しては親子関係の主効果が見られた。
親子関係との自立と大学への適応の関係 親子関係の4分類別に,大学への適応(大学生活満足度,対人不安)を独立変数,自立度(協調性,主体的自己,判断・責任性)を従属変数として重回帰分析を行い,パス図を作成した。なお,図は自己決定の大きさの順に配置した。
この結果より,自己決定の経験により適応の仕方に違いがあることがわかった。まず自己決定の低かった依存型と関係疎型は不安を減らすことにより適応していることがわかる。次に自己決定の最も高い自立型は,判断・責任性を持つことで大学生活に適応している。中間グループの関係疎型と密着型は主体的自己を持つことに生活に満足していることがわかった。