[PE076] E-S理論からみた大学生の愛着スタイルとその関連要因(2)
ストレッサーの差異に着目して
キーワード:E-S理論, 回避型愛着スタイル, 対人ストレッサー
I目的
研究1では,Baronn-Cohen(2002)のE-S理論をもとに男性脳(type S)が女性脳(Type E)と比べて,回避型愛着スコアが有意に高いことが示された。自閉症スペクトラム障害と回避型愛着との双方には共通して,対人場面におけるコミュニケーションに問題があり,対人関係を維持できない側面がある。しかしながら,回避型愛着スタイルでは,コミュニケーションをとることを拒む傾向が顕著で対人的な軋轢を生みだしているが,自閉症スペクトラム障害ではむしろ人との関わりを求めているにも関わらず実際の生活場面で問題が生じている。対人的ストレスの現れ方には,これらのコミュニケーションの違いが反映していると考えらことができる。
そこで本研究では,E-S理論による脳タイプの5類型と回避型愛着スタイルに焦点を当て,日常生活におけるストレッサーとの関連性を探る。
II方法
対象:首都圏にある大学に在学する大学生130名(男性82名,女性48名,平均年齢20.08,SD=0.94)期間:2013年11月中旬
質問紙の構成:(1)フェイスシート:性別,年齢等からなる。
(2)共感指数(Empathy Quotient以下EQ;Baron-Cohen,2002)とシステム化指数(Systemizing Quotient以下SQ;Baron-Cohen,2002):研究1を参照
(3)愛着スタイル診断テスト(岡田,2011):研究1を参照,各愛着類型のスコアにおける4類型化の基準は,低群(4点以下),中群(5~9点),中高群(10~14点),高群(15点以上)とした。
(4)大学生用日常生活ストレッサー尺度(嶋,1999):一般的な大学生が日常的に経験することが多い心理的な「いらだちごと」を内容とする32項目で構成される。下位尺度は,自己の人格,生き方に関わる「実存的(自己)ストレッサー」,対人関係の中で不愉快なことを経験させられる「対人ストレッサー」,大学生活や学業上で経験される「大学・学業ストレッサー」,物理的なストレッサーや身体的健康に関わる「物理的・身体的ストレッサー」であり,それぞれ8項目から構成される。
III結果・考察
研究1と同様にWakabayashi(2007)に従ってEQ,SQをそれぞれ5群に類型化した。回避型愛着スコアに関しては,先行研究(岡田,2011)に従い4群に分けたが,15点以上が1人であったため,10点以上を1つにまとめて高群として3群に再編した。まずそれぞれの群ごとにクロス集計を行い(表1),E-S理論5群を独立変数,ストレッサー全体とその下位尺度の得点を従属変数として分散分析,多重比較を行い(表2),回避型愛着スコア3群に関しても同様の分析を行った(表3)。
その結果,E-S5類型と回避型愛着スコア3群とをクロス集計した結果,回避型愛着スコアの得点が10点以上である高群において男性脳,超男性脳の割合が高い傾向にあることがうかがえる。また,E-S5類型間では物理身体的ストレッサーにおいて男性脳 (Type S)が女性脳(Type E)よりも有意に高いが,その他の下位尺度では有意差は見られなかった。一方,回避型愛着スコア3群間の比較では,対人ストレッサーにおける有意確率がP=0.051であったことから,回避型愛着スコアが高いとその他の群と比べて対人ストレッサーが高い傾向が示された。対人ストレッサーについては,E-S5類型間では有意差がみられないのに対して,回避型愛着スコア3群間においてはスコアが高い群ほど対人ストレッサーが高いことが確認できた。ここの結果からは,青年期のストレスや不適応を見立てる際に発達障害と愛着障害とを識別できる可能性が示唆され,今後,より詳細な検討が必要と思われる。
研究1では,Baronn-Cohen(2002)のE-S理論をもとに男性脳(type S)が女性脳(Type E)と比べて,回避型愛着スコアが有意に高いことが示された。自閉症スペクトラム障害と回避型愛着との双方には共通して,対人場面におけるコミュニケーションに問題があり,対人関係を維持できない側面がある。しかしながら,回避型愛着スタイルでは,コミュニケーションをとることを拒む傾向が顕著で対人的な軋轢を生みだしているが,自閉症スペクトラム障害ではむしろ人との関わりを求めているにも関わらず実際の生活場面で問題が生じている。対人的ストレスの現れ方には,これらのコミュニケーションの違いが反映していると考えらことができる。
そこで本研究では,E-S理論による脳タイプの5類型と回避型愛着スタイルに焦点を当て,日常生活におけるストレッサーとの関連性を探る。
II方法
対象:首都圏にある大学に在学する大学生130名(男性82名,女性48名,平均年齢20.08,SD=0.94)期間:2013年11月中旬
質問紙の構成:(1)フェイスシート:性別,年齢等からなる。
(2)共感指数(Empathy Quotient以下EQ;Baron-Cohen,2002)とシステム化指数(Systemizing Quotient以下SQ;Baron-Cohen,2002):研究1を参照
(3)愛着スタイル診断テスト(岡田,2011):研究1を参照,各愛着類型のスコアにおける4類型化の基準は,低群(4点以下),中群(5~9点),中高群(10~14点),高群(15点以上)とした。
(4)大学生用日常生活ストレッサー尺度(嶋,1999):一般的な大学生が日常的に経験することが多い心理的な「いらだちごと」を内容とする32項目で構成される。下位尺度は,自己の人格,生き方に関わる「実存的(自己)ストレッサー」,対人関係の中で不愉快なことを経験させられる「対人ストレッサー」,大学生活や学業上で経験される「大学・学業ストレッサー」,物理的なストレッサーや身体的健康に関わる「物理的・身体的ストレッサー」であり,それぞれ8項目から構成される。
III結果・考察
研究1と同様にWakabayashi(2007)に従ってEQ,SQをそれぞれ5群に類型化した。回避型愛着スコアに関しては,先行研究(岡田,2011)に従い4群に分けたが,15点以上が1人であったため,10点以上を1つにまとめて高群として3群に再編した。まずそれぞれの群ごとにクロス集計を行い(表1),E-S理論5群を独立変数,ストレッサー全体とその下位尺度の得点を従属変数として分散分析,多重比較を行い(表2),回避型愛着スコア3群に関しても同様の分析を行った(表3)。
その結果,E-S5類型と回避型愛着スコア3群とをクロス集計した結果,回避型愛着スコアの得点が10点以上である高群において男性脳,超男性脳の割合が高い傾向にあることがうかがえる。また,E-S5類型間では物理身体的ストレッサーにおいて男性脳 (Type S)が女性脳(Type E)よりも有意に高いが,その他の下位尺度では有意差は見られなかった。一方,回避型愛着スコア3群間の比較では,対人ストレッサーにおける有意確率がP=0.051であったことから,回避型愛着スコアが高いとその他の群と比べて対人ストレッサーが高い傾向が示された。対人ストレッサーについては,E-S5類型間では有意差がみられないのに対して,回避型愛着スコア3群間においてはスコアが高い群ほど対人ストレッサーが高いことが確認できた。ここの結果からは,青年期のストレスや不適応を見立てる際に発達障害と愛着障害とを識別できる可能性が示唆され,今後,より詳細な検討が必要と思われる。