[PE095] 「大切な物」の意味と働き
キーワード:大切な物, 意味, 働き
【問題と目的】 現代社会は高度情報化,グローバル化,価値の多様化が進み安価で良質な物が大量に生産され日常生活は物が溢れ,いかに物を取捨選択するかが問われている。東日本大震災では家や家族を失った人々が瓦礫の中から思い出の品を探す姿が報じられ物の意味が再認識されている。Sikszentmihalyi & Rochberg-Halton(1981)は「人は身の回りに存在する物とどう関わっているか,その理由は何か」,「自分とは何か,自分は何になりたいのか」という自己定義に物がどんな役割を果たすかを明らかにしようとし,大切な物の役割,物と人,物の意味と人の存在との関係に関する知見を得ている。
本研究はこれに倣い,物が溢れる中で生まれ育った現代の若者にとって物がどのような役割を果たしているのか,また単なる物ではなく「大切な物」の有無やその役割や意味を明らかにしようとした。
【方 法】 1. 対象者:首都圏大学生113名(男性54名,女性59名)。年齢18歳~55歳(平均22.47歳)。2. 調査内容:予備調査,マテリアリズム尺度(池内, 2006)を参考に「大切な物に関する調査」を作成。①大切な物の有無,②大切な物,③大切な程度・期間,④大切な物の意味調査(24項目,5件法),⑤大切な理由,⑥ない理由,⑦アニミズム尺度(池内, 2010)。 3. 調査期間:2013年7月~10月。4. 調査手続き:授業終了後一斉に配布し実施した。回答しない自由,個人情報保護を保障した。
【結果と考察】 ①大切な物の有無:対象者113名中「ある」108名(95.58%),「ない」5名(4.42%)。 ②大切な物:メッセージ・記念(14%),(腕)時計(11%),ぬいぐるみ(10%),写真,アクセサリー(各8%)。 ③大切にしている期間は平均5年。 ④大切な物の意味・役割の分析結果はTable 1に示した。結果から物の意味役割として機能的価値,魅力増幅的価値,生き方への影響的価値,自己存在・表現的価値,関係・経験の象徴的価値,情緒的価値の6因子が抽出された。⑤大切な理由:思い出・記念,自分・愛情の象徴,元気・がんばり,愛着,落ち着く,身代わり,高価(一生もの),であった。⑥大切な物がない理由:大切な物がない者は全体の4.4%で理由は「人や思い出の方が大切」「かけがえのない物など存在しない」など。⑦アニミズム尺度と物の意味の関連の検討では自然物の神格化から「生き方への影響」に有意な負のパス,所有者の分身化から「生き方への影響」「関係・経験の象徴的価値」「情緒的価値」に有意な正のパスが示され物の意味にアニミズムの影響が示された。 今後は対象を児童生徒に拡げ物の意味と役割,関連要因との関係の発達的検討を進める予定である。
本研究はこれに倣い,物が溢れる中で生まれ育った現代の若者にとって物がどのような役割を果たしているのか,また単なる物ではなく「大切な物」の有無やその役割や意味を明らかにしようとした。
【方 法】 1. 対象者:首都圏大学生113名(男性54名,女性59名)。年齢18歳~55歳(平均22.47歳)。2. 調査内容:予備調査,マテリアリズム尺度(池内, 2006)を参考に「大切な物に関する調査」を作成。①大切な物の有無,②大切な物,③大切な程度・期間,④大切な物の意味調査(24項目,5件法),⑤大切な理由,⑥ない理由,⑦アニミズム尺度(池内, 2010)。 3. 調査期間:2013年7月~10月。4. 調査手続き:授業終了後一斉に配布し実施した。回答しない自由,個人情報保護を保障した。
【結果と考察】 ①大切な物の有無:対象者113名中「ある」108名(95.58%),「ない」5名(4.42%)。 ②大切な物:メッセージ・記念(14%),(腕)時計(11%),ぬいぐるみ(10%),写真,アクセサリー(各8%)。 ③大切にしている期間は平均5年。 ④大切な物の意味・役割の分析結果はTable 1に示した。結果から物の意味役割として機能的価値,魅力増幅的価値,生き方への影響的価値,自己存在・表現的価値,関係・経験の象徴的価値,情緒的価値の6因子が抽出された。⑤大切な理由:思い出・記念,自分・愛情の象徴,元気・がんばり,愛着,落ち着く,身代わり,高価(一生もの),であった。⑥大切な物がない理由:大切な物がない者は全体の4.4%で理由は「人や思い出の方が大切」「かけがえのない物など存在しない」など。⑦アニミズム尺度と物の意味の関連の検討では自然物の神格化から「生き方への影響」に有意な負のパス,所有者の分身化から「生き方への影響」「関係・経験の象徴的価値」「情緒的価値」に有意な正のパスが示され物の意味にアニミズムの影響が示された。 今後は対象を児童生徒に拡げ物の意味と役割,関連要因との関係の発達的検討を進める予定である。