[PF014] 繰り下がりのない一桁ひき算における反応時間のサイズ効果
Keywords:一桁ひき算, 反応時間, サイズ効果
Ⅰ 目的
減数,被減数,答が一桁である整数ひき算の繰り下がりがない問題について,減数,被減数,答の数の増加に伴って反応時間(回答に要した時間)が増加する問題サイズ効果を明らかにする。
Ⅱ 方法
1) 対象 : 小学校2年生 77名
2) 方法 : 繰り下がりがない一桁ひき算問題全55問の回答を求めた。パソコンを用いて問題を表示し反応時間を自動的に記録した。
Ⅲ 結果と考察
減数,被減数,答の数別に反応時間の平均値(sec)を表に示した。
また,各々の数の違いによる反応時間の傾向を検討するために,以下の分析を行った。
減数と反応時間との相関係数を算出したところr=.25であり有意ではなかったため,数の増加に伴う反応時間の一貫した傾向はない。減数別反応時間の平均値を算出し,一元配置分散分析を行ったところ,減数の効果は有意であった(F(9,760)=26.772,p<.01)。多重比較によれば,0と1~7,1と2・3・6・7,2と4・5・8・9,3と4・8・9,4と6・7・9,5と6・8・9,6・7と8・9が1%水準,1と5・9,3と5・6,4と8,5と7が5%水準で有意であった。以上より,減数の違いによる反応時間の傾向は,減数が0,1の様に小さい,あるいは8,9の様に大きい問題の反応時間が小さく,4,5の様に中程度の大きさの問題がそれより大きく,2,3,6,7の様なその中途の大きさの問題は最も大きかった。従って,一貫したサイズ効果は見られなかった。
被減数と反応時間との相関係数を算出したところr=.57であり1%水準で有意であった。これより,被減数の大きい問題は反応時間も大きくなっている傾向がある。被減数別反応時間の平均値を算出して一元配置分散分析を行ったところ,被減数の効果は有意であった(F(9,760)=32.447,p<.01)。多重比較によれば,0と5~9,1~4と6~9,5・6と7~9,7・8と9が1%水準,5と6が5%水準で有意であった。以上より,反応時間の大きさは0<5~9,1~4<6~9,5・6<7~9,7・8<9であり,概ね被減数の増加に伴って反応時間が大きくなり,サイズ効果がみられた。
答の数と反応時間との相関係数を算出したところr=.33であり5%水準で有意であった。これより,答の大きい問題が反応時間も大きくなっている傾向がある。答の数別反応時間の平均値を算出して一元配置分散分析を行ったところ,答の数の効果は有意であった(F(9,760)=27.827,p<.01)。多重比較によれば,0と1~8,1と2~7,2・3と6・8・9,4・5と6・9,6・7と8・9が1%水準,4・5・9と8が5%水準で有意であった。以上より,答の違いによる反応時間の傾向は,答が0,1の様に小さい,あるいは8,9の様に大きい問題の反応時間が小さく,2,3,4,5の問題がそれより大きく,6,7の様な中途の大きさの問題は最も大きいことが示された。従って,一貫したサイズ効果は見られなかった。
減数,被減数,答が一桁である整数ひき算の繰り下がりがない問題について,減数,被減数,答の数の増加に伴って反応時間(回答に要した時間)が増加する問題サイズ効果を明らかにする。
Ⅱ 方法
1) 対象 : 小学校2年生 77名
2) 方法 : 繰り下がりがない一桁ひき算問題全55問の回答を求めた。パソコンを用いて問題を表示し反応時間を自動的に記録した。
Ⅲ 結果と考察
減数,被減数,答の数別に反応時間の平均値(sec)を表に示した。
また,各々の数の違いによる反応時間の傾向を検討するために,以下の分析を行った。
減数と反応時間との相関係数を算出したところr=.25であり有意ではなかったため,数の増加に伴う反応時間の一貫した傾向はない。減数別反応時間の平均値を算出し,一元配置分散分析を行ったところ,減数の効果は有意であった(F(9,760)=26.772,p<.01)。多重比較によれば,0と1~7,1と2・3・6・7,2と4・5・8・9,3と4・8・9,4と6・7・9,5と6・8・9,6・7と8・9が1%水準,1と5・9,3と5・6,4と8,5と7が5%水準で有意であった。以上より,減数の違いによる反応時間の傾向は,減数が0,1の様に小さい,あるいは8,9の様に大きい問題の反応時間が小さく,4,5の様に中程度の大きさの問題がそれより大きく,2,3,6,7の様なその中途の大きさの問題は最も大きかった。従って,一貫したサイズ効果は見られなかった。
被減数と反応時間との相関係数を算出したところr=.57であり1%水準で有意であった。これより,被減数の大きい問題は反応時間も大きくなっている傾向がある。被減数別反応時間の平均値を算出して一元配置分散分析を行ったところ,被減数の効果は有意であった(F(9,760)=32.447,p<.01)。多重比較によれば,0と5~9,1~4と6~9,5・6と7~9,7・8と9が1%水準,5と6が5%水準で有意であった。以上より,反応時間の大きさは0<5~9,1~4<6~9,5・6<7~9,7・8<9であり,概ね被減数の増加に伴って反応時間が大きくなり,サイズ効果がみられた。
答の数と反応時間との相関係数を算出したところr=.33であり5%水準で有意であった。これより,答の大きい問題が反応時間も大きくなっている傾向がある。答の数別反応時間の平均値を算出して一元配置分散分析を行ったところ,答の数の効果は有意であった(F(9,760)=27.827,p<.01)。多重比較によれば,0と1~8,1と2~7,2・3と6・8・9,4・5と6・9,6・7と8・9が1%水準,4・5・9と8が5%水準で有意であった。以上より,答の違いによる反応時間の傾向は,答が0,1の様に小さい,あるいは8,9の様に大きい問題の反応時間が小さく,2,3,4,5の問題がそれより大きく,6,7の様な中途の大きさの問題は最も大きいことが示された。従って,一貫したサイズ効果は見られなかった。