The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PF016] 児童および成人による善悪判断における特性と意図の効果

米田英嗣1, 小山内秀和1, 柳岡開地2, 猪原敬介3, 子安増生1, 楠見孝1, 小坂浩隆4 (1.京都大学, 2.京都大学大学院, 3.電気通信大学, 4.福井大学)

Keywords:物語, 特性推論, 意図推論

背景
社会性の発達において、他者の特性理解 (清水, 2012)と意図の推測が必要である。二次的誤信念の理解は、定型発達の児童であれば9歳頃には可能になるが (Perner & Wimmer, 1985; 林, 2006)、その後の児童の他者判断の発達過程はあまり明らかになっていない。そこで、本研究では、児童後期と成人を対象に、他者の善悪判断における特性と意図の効果を検討する。
方法
参加者 児童30名 (女性12名、平均12.5歳)、成人40名 (女性20名、平均20.9歳) が参加した。
題材 1文目が主人公の特性、2文目が意図、3文目が結末を示す物語文章を用いた (表1)。良い子/善意/良い結末、良い子/悪意/良い結末、悪い子/善意/良い結末、悪い子/悪意/良い結末、良い子/善意/悪い結末、良い子/悪意/悪い結末、悪い子/善意/悪い結末、悪い子/悪意/悪い結末を3個ずつ呈示し、参加者は計24個を読んだ。
手続き PC画面に一文ずつ順に提示され、実験参加者は、文意を理解できたらスペースキーを押した。3文目を読んだ後で、主人公が良い子か、悪い子かをボタンを押して判断した。意図を手がかりにして回答した割合 (善意なら良い子、悪意なら悪い子) を従属変数とした。
結果と考察
年齢×特性×意図×結末の交互作用が有意であり (図1; 誤差範囲は95%信頼区間)、特性×意図が異なる場合の判断において年齢差が見られた (F(1, 68) = 6.53, p < .05, MSe = 842.1, Prep = .96, ηp2= .09)。善意を持つ悪い子の判断においては、結末の良い悪いに関わらず、成人 (75.4%) は児童 (64.7%)よりも善意に基づき良い子であると判断した。また、結末の良い悪いに関わらず、児童は善意を持つ悪い子 (64.7%が良い子と回答)よりも悪意を持つ良い子 (77.2%が悪い子と回答)を意図に基づいて判断することが明らかになった。
結論
児童も成人も、他者の判断をする際には、特性と意図の両方を手がかりにして判断していることがわかった。特性と意図が異なる人物の善悪判断において発達における相違が見られ、善意を持つ悪い子における情状酌量は、児童期後期以降に発達することが明らかになった。今後は、自閉症スペクトラム障害を持つ児童および成人を対象に、善悪判断方略における相違を検討する。