[PF019] 児童一人一人に居心地のよさを感じさせる学級経営支援の実践的研究
コンサルテーションとSSTの導入を通して
Keywords:学習意欲, 教師との関係, 友人関係
1 問題と目的
教育力向上福岡県民運動の中で,今の児童の課題として学ぶ意欲の低下,自尊感情の低下,規範意識の低下等を指摘している。
そこで本研究では,学習意欲,教師との関係,友人関係の向上に視点を当てた教育実践を行うことを通して,居心地のよさを感じさせることができる学級経営の支援を行っていく。
その内容としては,授業について担任教師へのコンサルテーションを通して,児童の学習意欲及び教師との関係の意識の変容の検証と,学級活動の中でソーシャルスキルトレーニング(以下SST)を行い,友人関係についての意識の変容の検証を行う。
2 方法
(1)研究の方法
① 研究期間:平成X年9月~平成X年12月
② 研究対象:
福岡県内A小学校第4~6学年全7学級の全児童(236名)及び学級担任7名
(2)手続き
平成X年6月と同年の12月の学校適応感尺度
ASSESS(栗原・井上,2010)の児童の自己評価の結果をもとに検証する。「学習意欲」は「学習的適応」で,「教師との関係」は「教師サポート」で,「友人関係」は「友人サポート」「非侵害的関係」「向社会的スキル」の3因子で検証する。
(3)実践の内容
コンサルテーションは,ASSESSの学習的適応の結果とA小学校で作成した授業についてのアンケートから自己評価が低い児童を抽出し, 実態と今後の支援の在り方を載せたシートを作成し,担任に渡した。
SSTは,ASSESSの結果と担任の学級経営の課題等から,各学年でSST学習の年間計画を立ててもらった。その後,手立てを工夫しながら,第4・5学年で各4回,第6学年で6回第一筆者が授業を行った。ここでは,活動後に必ず小グループで全員が感想を言い,それを聞き認め合う場を設定したり,学んだスキルを日常の場でも発揮させ,実践化を図る「がんばりカード」を活用したり,実践で自分のめあてを達成した児童には,「○○名人シール」を与えたりなどの手立ての工夫を行った。
3 結果
6月のASSESSの結果から,自己評定の上位群(偏差値50以上)と下位群(偏差値50未満)に分け,それぞれt検定を行って変容を見た。ここではその一部を表で示す。
その結果,学習的適応及び教師サポートの上位群では,各1学級のみに有意な上昇が見られたのに対し,下位群では学習的適応で2学級,教師サポートで3学級に有意な上昇が見られた。
また,上位群の向社会的スキル及び非侵害的関係で各1学級のみに有意な上昇が見られたのに対し,下位群では友人サポートで6学級,向社会的スキルと非侵害的関係で各5学級に有意な上昇が見られた。
4 考察
本研究では,第一筆者は自己評定下位群に焦点を当て,担任へのコンサルテーションを行った。そのことで,担任は上位群の児童への支援よりも下位群の児童への支援を中心に授業づくりを行ったと考えられる。今後は,上位群への支援の在り方についてもコンサルテーションを行う必要がある。
また,SSTは,実践した回数と家庭への協力依頼によって,より効果が高まるという先行研究に習い,年間計画の作成と確実な実施,お便り等による家庭への情報発信と協力の依頼を行う必要がある。
これらの課題を解決させ,今後も児童一人一人に居心地のよさを感じさせる学級経営の支援を行っていきたい。
教育力向上福岡県民運動の中で,今の児童の課題として学ぶ意欲の低下,自尊感情の低下,規範意識の低下等を指摘している。
そこで本研究では,学習意欲,教師との関係,友人関係の向上に視点を当てた教育実践を行うことを通して,居心地のよさを感じさせることができる学級経営の支援を行っていく。
その内容としては,授業について担任教師へのコンサルテーションを通して,児童の学習意欲及び教師との関係の意識の変容の検証と,学級活動の中でソーシャルスキルトレーニング(以下SST)を行い,友人関係についての意識の変容の検証を行う。
2 方法
(1)研究の方法
① 研究期間:平成X年9月~平成X年12月
② 研究対象:
福岡県内A小学校第4~6学年全7学級の全児童(236名)及び学級担任7名
(2)手続き
平成X年6月と同年の12月の学校適応感尺度
ASSESS(栗原・井上,2010)の児童の自己評価の結果をもとに検証する。「学習意欲」は「学習的適応」で,「教師との関係」は「教師サポート」で,「友人関係」は「友人サポート」「非侵害的関係」「向社会的スキル」の3因子で検証する。
(3)実践の内容
コンサルテーションは,ASSESSの学習的適応の結果とA小学校で作成した授業についてのアンケートから自己評価が低い児童を抽出し, 実態と今後の支援の在り方を載せたシートを作成し,担任に渡した。
SSTは,ASSESSの結果と担任の学級経営の課題等から,各学年でSST学習の年間計画を立ててもらった。その後,手立てを工夫しながら,第4・5学年で各4回,第6学年で6回第一筆者が授業を行った。ここでは,活動後に必ず小グループで全員が感想を言い,それを聞き認め合う場を設定したり,学んだスキルを日常の場でも発揮させ,実践化を図る「がんばりカード」を活用したり,実践で自分のめあてを達成した児童には,「○○名人シール」を与えたりなどの手立ての工夫を行った。
3 結果
6月のASSESSの結果から,自己評定の上位群(偏差値50以上)と下位群(偏差値50未満)に分け,それぞれt検定を行って変容を見た。ここではその一部を表で示す。
その結果,学習的適応及び教師サポートの上位群では,各1学級のみに有意な上昇が見られたのに対し,下位群では学習的適応で2学級,教師サポートで3学級に有意な上昇が見られた。
また,上位群の向社会的スキル及び非侵害的関係で各1学級のみに有意な上昇が見られたのに対し,下位群では友人サポートで6学級,向社会的スキルと非侵害的関係で各5学級に有意な上昇が見られた。
4 考察
本研究では,第一筆者は自己評定下位群に焦点を当て,担任へのコンサルテーションを行った。そのことで,担任は上位群の児童への支援よりも下位群の児童への支援を中心に授業づくりを行ったと考えられる。今後は,上位群への支援の在り方についてもコンサルテーションを行う必要がある。
また,SSTは,実践した回数と家庭への協力依頼によって,より効果が高まるという先行研究に習い,年間計画の作成と確実な実施,お便り等による家庭への情報発信と協力の依頼を行う必要がある。
これらの課題を解決させ,今後も児童一人一人に居心地のよさを感じさせる学級経営の支援を行っていきたい。