The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 4:00 PM - 6:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PF045] 生活的概念から科学的概念へ:「のだ」の概念発達

国語科授業を通して

千種彰典 (中国学園大学大学院)

Keywords:生活的概念, 科学的概念, のだ

子どもは家庭でさまざまな言葉を覚えて学校に入学する。しかし,子どもの覚えた言葉の意味はあいまいである。生活的概念に支配されている。
学校教育によって生活的概念を科学的概念に変えていかなければならない。国語においても科学的概念に変える学習を行わなければならない。生活的概念に基づいた話し合いではなくて,そこを抜け出し,科学的概念に高まっていくようにするのである。
本論は,概念発達においても重要な「のだ」という言葉をとりあげる。「のだ」についての科学的概念を習得させるための教材研究や指導方法について述べていく。

1 生活的概念
子どもは「~のだ(んだ)」の言葉を大事なことばとして意識して使っていない。言葉の自覚がないのである。だから,いつも使っている言葉なのに,意味を問うても,答えられない。
これは,生活的概念による言葉の特徴であり,「~のだ(んだ)」の場合も,思考の道具として意識することはできない。

2 科学的概念
科学的概念としての「んだ」を詩文「ぼくのいぬころ 与田準一」で考える。「んだ」は「理由や根拠などを述べることを表す」という意味である。
この詩に当てはめる。
ぼくは,「『夕日』って名まえにしよう」と説得しているわけである。相手がいる。
名まえが『夕日』であるから,相手は必ず理由を問うだろう。それに答えている。名前の良さを主張している。しかし,いささか,ぼくの主張は無理がある。夕方と限定して,『ゆうひ』と呼ぶわけだから,おもしろいが現実的ではない。

ぼくのいぬころ
与田 準一
ぼくのいぬころ、
「夕日」ってなまえにしよう。
ゆうかた、
はらっぱから かえる とき
ゆうひいー
ゆうひいーって よぶでしょう
すると ボウボウ はえた
くさの なかから、
ぼくの いぬころ
まるくなって ころがって くるんだ。
※紙面の都合上教材の体裁は変更している。

3 小学校における国語授業
この教材を使った授業をとりあげる。特に「んだ」という単語の概念形成について分析する。
分析する小学校授業は4人の教師による8つの実践。その中の2つについて述べる。
まず,この授業の前提として,次のようなことが必要である。事前の学習で,「のだ」の意味を調べたり,意味を教室に掲示したり,例文を自分で作ったりすることである。ある程度「のだ」について学習しておく。
2つの授業の場合は,教師の支援によって子どもが「んだ」の意味に気づき,相手に説明するという考えを出してきている。「んだ」の科学的概念の形成が始まっている授業である。その後,次の教材で「のだ」「んだ」を見つけて,「説明している」「理由を述べている」という視点が使えるように学習を進めていく。