日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PF

(501)

2014年11月8日(土) 16:00 〜 18:00 501 (5階)

[PF079] 精神科職員に対する効果的な研修プログラム作成の試み(1)

プログラム評価研究を援用した研修項目の策定

和田剛宗1, 濱口絵倫子1 (久喜すずのき病院)

キーワード:プログラム評価, 職員研修, 精神科病院

問題と目的
プログラム評価研究では,プログラムの実践に先立ってステークホルダーおよびキーインフォーマントにニーズアセスメントを行い,プログラムの骨子となるロジックモデルと介入に関わる事項を定める。こうして,プログラムに関わる人々が協調してプログラムに携われるように図られる。A病院では2012年度よりプログラム評価研究の手法に則り,職員研修に関するロジックモデルと新人研修に関する研修項目を策定したうえで,新人研修プログラムを実践している(和田・岡田・堀田,2013)。
本研究ではこれに続いて,勤務2年目以降と定めた職員への研修を始めるにあたり,どのような研修項目がA病院(442床,職員280名)の教育に適していると考えられるかを調査し,策定することを目的とする。

方法
(1)ニーズ調査
期間:2012年8月。
実施者:臨床心理士2名。
対象者:A病院の職員を対象とした。ステークホルダーは病院事務長で,キーインフォーマントは各部署の部署長またはそれに準ずる者(医師1名,看護師3名,薬剤師1名,作業療法士2名,臨床心理士1名,精神保健福祉士1名,介護支援専門員1名,理学療法士1名,管理栄養士1名)であった。
実施方法:各職員と個別に時間を取り,研修の形式と内容に関する事柄を中心に聴取した。
(2)プログラム・プランニング
アセスメントされたニーズを基に,臨床心理士2名で研修項目の策定を行った。

結果
(1)ニーズアセスメント結果の整理
聴取したニーズのうち,研修の内容については職種特有のものと職員全体に関わるものとに分けられた。さらに,職員全体に関わるものは,勤務年次によって2-4年目と5年目以降の職員に必要なものとに分けられた。
(2)研修項目の策定
職員全体に関わるものについて研修項目を検討した結果,「病院の方針・求められる姿勢」,「精神医学」,「感情の処理の仕方」,「患者と専門家の認識のずれへの対応」,「業務姿勢」となった。また,研修項目に関わる事項(内容,形式,講師,実施回数,対象年次)についても,検討のうえ定めた。結果をTable 1に示す。

考察
プログラム導入前の2013年2月に,病院運営者および部署長に対して説明を行い,確認を取った。両者より承認を得られたことから,ニーズを満たしたものが策定されたものと考えられた。ただし,プログラムの有用性については,プログラムの過程と効果を検討するプロセス評価やアウトカム評価による検討が求められる(安田,2011)。今後については,それらの評価を通して改善を重ねることが肝要であるものと思われる。