日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PF

(501)

2014年11月8日(土) 16:00 〜 18:00 501 (5階)

[PF093] 中学生の社会的行動についての研究(97)

問題行動に親や友人との関係のとらえ方やレジリエンスは関連するのか

五十嵐敦1, 氏家達夫2, 二宮克美3, 井上裕光4, 山本ちか5 (1.福島大学, 2.名古屋大学, 3.愛知学院大学, 4.千葉県立保健医療大学, 5.名古屋文理大学短期大学部)

キーワード:中学生, 親子関係の認知, 問題行動

【目 的】中学生期は親子の関係に過敏になる時である。五十嵐ら(2013)は,進路選択や将来展望と親の側の子どもへの期待やそのズレの影響について確認した。一方,親との関係を子ども自身がどのように認知しているかレジリエンスとの関連も検討した(同,2012)。結果,親の愛着(関与・信頼)の高さが注目された。しかし,親との関係の認知の変化や友だちとの関係については取り上げていなかった。また,学校生活適応との関係については明らかにしていなかった。
3年間の変化とともに,ストレスや生活リズムの問題,レジリエンスとともに特に中学3年次における規則違反など問題行動の予兆となる行動との関連をみることにした。
【方 法】①協力者;愛知県と福島県の中学生1年から3年生まで7回の調査を実施し,そのうち1回目(1年次),4回目(2年次),7回目(3年次)の回答が得られた協力者で,関連データがそろった530人(男229人、女301人)を分析対象とした。
②分析内容;<問題行動の予兆>は「学校に禁じられているもの(携帯電話,マンガなど)を持っていく」など7項目。4件法。<ストレス>:学校や家でどのくらい嫌なことがあったか6項目4件法。<レジリエンス>は,石毛ら(2005)の尺度をもとに25項目。6件法(2年生の6月実施)。<親との関係>普段の親子関係について具体的な側面,関与,信頼,自律促進,規制,虐待傾向といった面を取り上げた。6件法。今回は因子分析の結果に基づき各要因を再構成した。<友だちとの関係>各愛着としての関係と準拠枠としての友だちの2側面でとらえた。
いずれも各学年9月に実施したデータを用いた。
【結果と考察】親との関係,友だちとの関係の認知について項目平均について測定時期と性別の2要因分散分析(反復測定)を行い,その結果,親との関係は,いずれも学年の有意な主効果が確認された。友だちでは,準拠枠としての友だちが有意ではなかった。問題行動,ストレス,生活リズムでも2要因分散分析(反復測定)の結果,いずれも学年の有意な主効果が確認され,学年が上がると悪い方向に変化していた。レジリエンスは,積極的志向,自己内省,相談姿勢の3要因を確認し,1年次の諸要因による重回帰分析を行った。親・友だち,それぞれの関係のとらえ方では,「信頼」・「冷遇的」以外の要因が有意な説明変数だった。
3年次の問題行動の予兆を目的変数に各要因による重回帰分析(ステップワイズ)を行った。その結果,図のような結果が得られた(R2=.622,F=86.14,p<.001)。2年次の問題行動・1年次の親の規制が正の,2年次のストレスと1年次の冷遇が負の有意な説明変数であることが着目された。
<付記:科研費・基盤研究(B)(1)14310055(代表 氏家達夫)の補助をうけた>