The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 » ポスター発表 PG

ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PG039] 中学校教師の生徒に対してまかせた時の認知の高低が感情・行動・経験した結果に与える影響の比較

板垣市子1, 石隈利紀2 (1.山形県スクールカウンセラー, 2.筑波大学)

Keywords:中学校教師, 生徒にまかせる

【目的】
本研究の目的は,板垣・石隈(2011)の中学校教師の生徒に対する過剰な援助の中の,教師が生徒にまかせた時(以後,まかせた時)に関する研究から,①「まかせた時の認知」の高い教師と低い教師が,「まかせた時の感情・行動」や「まかせた時を経験した結果」へ与える影響を男性教師・女性教師に分けて比較検討をするものである。また,「まかせた時」とは,教師が生徒に判断や行動をゆだねた時と定義して行われた。生徒に判断や行動をゆだねることで,生活実践力をつけるねらいがあるとした。
【方法】
調査対象 A県B県C県D県の公立中学校教師校に263部配布,229部回収(回収率87.1%)最終有効回答者192部(有効回答率83.8%)であった。
調査期間 2010年10月下旬~12月上旬。
測定具 板垣・石隈(2011)の「中学校教師が生徒にまかせた時」に関する研究で得られた質問項目を使用した。回答は,4件法で行われた。男女別にして,まかせた時の認知の因子「自律への期待」と「指導への責任感」を高低に分けて独立変数にし,まかせた時の感情・行動の「生徒の意見の尊重」「生徒の行動の見守り」の2因子とまかせた時を経験した結果の「生徒の成長への願い」「教師の肯定感」「関わる喜び」の3因子の合計5因子を従属変数にして一要因分散分析を行った。
【結果と考察】
男性教師は,まかせた時の認知の「自律への期待」が高い教師は,まかせた時の感情行動の1因子とまかせた時を経験した結果の3因子に有意な差が見られた。「指導への責任感」が高い教師は,まかせた時の感情・行動の2因子とまかせた時を経験した結果の3因子に有意な差が見られた。(表1)女性教師は,「自律への期待」が高い教師は,まかせた時の感情
・行動の1因子とまかせた時を経験した結果の3因子に有意な差が見られた。「指導への責任感」が高い
教師は,まかせた時の感情・行動の1因子とまかせた時を経験した結果の1因子に有意な差が見られた。(表2)「自律への期待」が高い教師ほど男性教師・女性教師ともに生徒と一緒に行動する傾向が見られた。その結果は,教師として肯定感が高まり生徒との関係を楽しむようになっていくと示唆された。「指導の責任感」が高い教師では性差が見られた。男性教師はまかせた時の認知の「指導への責任感」を高めること,女性教師はまかせた時の認知の「自律への期待」について認知を高める事が,生徒にまかせて生活実践力をつけさせることに繋がる事が示唆された。