日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

2014年11月9日(日) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PG065] 電子メール自動返信機能を用いたメールマナー改善の試み

阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)

キーワード:ネチケット, 情報教育

背景
本研究では大学生のメールマナー改善を目的として,メールの自動返信機能による即時継続的なメール返信が学生のメール文面にどのような影響を与えるかを検討した。自動返信機能を用いた背景には認知的不協和(1957)が挙げられる。認知的不協和理論では,人は自分の行動や認知の間で矛盾を感じた場合に,それを解消しようと行動や認知を変化させることが知られている。本研究の狙いは,メールの受信者である講師から,名乗りや挨拶,要件を示す文章を明記したメールを返し続けることで,「相手は丁寧なメールを送っているのに自分は不躾なメールを返してしまっている」という認知的不協和を生じさせ,これを解消するべく学生からのメールも講師からのメール内容に見合った記述がされることにある。

方法
■調査協力者:筆者の担当した情報基礎演習科目の受講者 人が調査に参加した。協力者のうち2010年に受講した 人はメールの自動返信が行われない統制群とし,2011年に受講した 人はメールが自動返信される実験群とした。
■手順:協力者には,毎回演習で作成した課題ファイルをメールに添付することで提出することを求めた。調査はメールシステムの利用案内を終えた第3回以降とした。自動返信メールの文面には,「情報基礎担当の阿部慶賀です。課題提出のメールを確かに拝受しました。内容は後日確認させてもらいます。本日の演習お疲れ様でした。」という文面と,署名(所属,連絡先)が記載された。

結果と考察
受講者のメールについて,件名の有無,名前の有無,学籍番号,または所属の有無,宛名の有無,挨拶の有無,要件の有無(講義の課題提出である旨の説明を添えていること)をそれぞれチェック項目とし,各項目を1点とした総合点(最大6点)を算出した。各群での各チェック項目と総合得点の推移を表1,2に示す。合計点では実験群が統制群よりも高いスコアとなった。実験群と統制群では,第3回での総合得点には違いはなかったが,第4回以降統制群のスコアが実験群より低下し,その状態のまま推移した。統制群では第3回のみ学籍番号や氏名,要件を説明した文面を添えた学生が大半を占めていたが,第4回以降は大半の学生で要件の記述はみられなくなった。それに対し,実験群では第4回以降も要件の記述が継続して記載されたことに加え,挨拶の一言が添えられ,その割合も次第に高くなっていた。なお,実験群は全員,講師の返信が自動返信であることに気づいていた。このことから,機械的なやりとりであっても,相手のメールマナーに応じようとすることが示唆される。