日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PG

(501)

2014年11月9日(日) 10:00 〜 12:00 501 (5階)

[PG077] 物語文の冒頭部におけるタイトルの影響

伊藤尚枝 (恵泉女学園大学)

キーワード:タイトル, 内容との一致度, 読解

目 的
物語文のタイトルが,全体的な内容を把握することができない冒頭部において,どのような影響を与えるのかを実験的に検討する。

方 法
1.実験参加者 女子大学生39名(19-21歳)
2.刺激呈示文 表1を使用した(矢田, 1935)。
3.実験計画 1要因参加者間計画を実行した。
呈示するタイトルを操作して,2条件を設定した。
“父と娘”条件:登場する主要人物を含む
“雨の日”条件:呈示文の内容に関係なし
タイトルと一緒に呈示した文(表1)は,2つの条件で同じであった。
4.手続 参加者を,どちらか一方の条件に割り
振ったあと,タイトルつきの呈示文を渡して黙読してもらった。読み終えたら,「タイトルが文章の内容に合っていた(+4)-合っていない(-4)」を9件法の一対比較法で評定してもらった。次に,表3のアンケートに答えてもらった。一対比較法(9件法)で評定してもらった。

結 果
「タイトルが文章の内容に合っている-合っていない」程度の評定値に関して,2条件でt検定を行うと有意な差が認められた(表2)。
アンケートの評定結果で,一対比較のペア項目のうち,正評価値にプラスの値(+1~+4)を当て,負評価値にマイナスの値(-1~-4)を割り当てた。
因子分析で,3つの因子を抽出できた(表3)。
考 察
タイトルが内容に合わない父と娘条件のほうが,トラブル発生を理解して(因子2),展開を積極的に予測した(因子3)。タイトルと,冒頭部の内容の不一致感が読解を促進する要因になるのだろう。
引用文献
矢田津世子 (1935). 父 青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000317/files/47442_32488.html (2013年3月26日)