The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG

(501)

Sun. Nov 9, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PG085] 保育職の職場体験学習の特徴

職場体験時の活動内容に着目して

山本睦 (常葉大学)

Keywords:キャリア教育, 職場体験学習

【問題と目的】
平成23年1月にキャリア教育の実践における方向性を定めた中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(中央教育審議会,2012)が出された。この答申では,①幼児期の教育から高等教育まで,キャリア教育が体系的になされること,②「実社会で役立つ」ための能力観,③一人ひとりの社会的・職業的自立を目標とすること,の3点がこれまでの答申と比べて明確になっている。今回の答申においても,「もっともインパクトのある啓発的経験」として中学生の職場体験学習が挙げられている(厚労省,2012)。その一方で,進路選択に役立ったとする内容の比率は,「学校でのテスト結果や各教科の成績」が男子39.4%女子37.5%,「学校外の模擬テストの結果」が男子27.2%女子23.5%に対して,「職場体験や社会人の講話」は男子2.7%女子5.4%と非常に低いという指摘もある(日本進路指導協会,2006)。そこで本研究では,本実習を経験する前の保育者養成学部に所属する大学2年生を対象に質問紙調査を実施,保育現場での職場体験の有無,活動内容と,保育職の適性および就職の見通しに関する自己評価との関連について分析を行なった。
【方法】
調査対象;保育学部に所属する大学2年生175名(男子31名,女子144名)。
手続き;幼稚園教諭免許必修科目の授業内において,質問紙を配布,回収。質問項目は次の通り。
1.フェースシート 性別,職場体験の有無,実施時期,実施施設,実施期間。
2.職場体験時に実施した活動内容(14項目+その他)と比率。
3.職場体験の主観的効果(五件法)。
4.保育者の適性に関する現在の自己評価(五件法)。
5.保育職への就職の見通し(五件法)。
【結果と考察】
1. 活動内容の分類
先の質問項目2から活動内容を分類するため,階層的クラスター分析(Ward法;平方ユークリッド距離;Z得点による標準化)を行なった。その結果,Figure1のようなデンドログラムとなった。
再調整された距離クラスタ結合の値が5の段階で,「屋外での自由遊び」「室内での自由遊び」以外の活動が1クラスタに凝集した。通常用いられる10 の段階になると,「自由遊び」と「それ以外」の2つのクラスタにまとまった。
2. 活動内容と日数,現在の自己評価の関係
最初の凝集過程でまとまった8,9,10,14を第1クラスタ,11,12,13を第2クラスタとし,それぞれの経験群と,自由遊びしかしていない自由遊び群,それ以外の4群を設定し,職場学習の日数および自己評価内容の因子分析から得られた2尺度(積極性・楽観性)について1要因の分散分析を行なった。日数は群間で有意(F=6.036, P<.001)であり,第1クラスタ経験群が他群より有意に長かった。しかし,自己評価の2尺度についてはどちらも群間に有意な差はなかった。
このことから,現行の職場体験は日数が長くないと体験できない活動があるが,活動内容がその後の自己評価には影響していないと考えられる。