[PG090] 母親の音声・言語模倣と子どもの言語発達の関係
Keywords:音声・言語模倣, 言語発達
目 的:母親の子どもの音声やことばの模倣は母親の働きかけ行動では応答的な反応の1つで,子の言語発達にプラスの効果があることが報告されている(Masur et al.,2005)。本研究では母親の子の発話の模倣の年齢推移と観察時点と追跡33ヶ月時点の子の言語発達との関係を明らかにする。
方 法:対象児:追跡データがある 18ヶ月児14名,21ヶ月児19名,24ヶ月児14名,計47名。
手続き:一定のままごと遊具での母子の自由な5分間の遊びを2方向より録画し,トランスクリプションを作成し,音声・言語模倣を抽出した。
分析方法と指標:模倣指標:1.模倣の種類:子のモデル発話に対して,a.モデルと同じ模倣(繰り返し),b.拡充模倣,c.部分模倣(縮小),d.拡充+縮小模倣の各発話数の頻度を算出した。2.模倣の内容:モデルが感嘆詞だけの場合とモデルが語,文であるときに感嘆詞,助詞・助動詞,語のそれぞれの拡充,縮小の模倣頻度を算出した。言語指標:母親が記入したJCDIsの表出語数と21, 24,33ヶ月は助詞・助動詞数を算出した。
結 果:1.模倣の年齢推移 1)模倣の種類:分散分析を行った結果,年齢の主効果は10%水準で有意傾向が あり(F(2,44) = 3.131, p<.10),18ヶ月児が21,24ヶ月に比べ模倣の頻度が低い傾向があった。模倣の種類は有意差があり(F(3, 132) = 20.169, p<.001), 繰り返し= 拡充 > 拡充+縮小 > 縮小の順であった。模倣の種類×年齢の交互作用は有意でなかった(F(6, 132) = 1.081, ns)
2) 模倣内容:図1に18, 21, 24ヶ月児の模倣内容の生起頻度を示した。分散分析を行った結果,年齢の主効果は有意で(F(2,44) = 3.316, p<.05),24ヶ月児が18ヶ月児よりも有意に模倣内容数が多かった。6種類の模倣内容数も有意な差があり(F(5, 220) = 21.215, p<.001),母の模倣内容は助詞・助動詞拡充 = 語拡充 > 感嘆詞拡充 > 語縮小= 感嘆詞縮小 =助詞・助動詞縮小であった。年齢×模倣内容の交互作用が有意 (F(10, 220) = 2.636,p <.01)で,助詞・助動詞の拡充は年齢差があり(F(2,46) = 3.369, p< .05),21ヶ月が18ヶ月より有意に頻度が高かった。語拡充も年齢差が有意で(F(2,46) = 3.841, p<.05),21ヶ月が18ヶ月より有意に頻度が高かった。
2.母親の模倣発話と子どもの言語発達:観察時点,33ヶ月時点,観察時点の言語水準を制御した33ヶ月時点,の言語と模倣との偏相関係数を算出した。18ヶ月表出語数と33ヶ月表出語数の相関は.115,21ヶ月と33ヶ月は.707,24ヶ月と33ヶ月は.635であった。21ヶ月助詞・助動詞得点と33ヶ月助詞・助動詞得点との相関は.704, 24ヶ月と33ヶ月は.608であった。
1)模倣発話数,各種類模倣発話数と子の表出語数の相関:観察時点の相関,追跡時点33ヶ月の表出語数の相関と,観察時点の表出語数を制御した偏相関係数は,18ヶ月児は有意な相関がある模倣はなく,21ヶ月児は観察時点模倣発話数,拡充,縮小と相関があったが,追跡時点では0次相関も偏相関も有意な模倣はなかった。24ヶ月児は観察時点で拡充+縮小と有意な相関,33ヶ月追跡時点で模倣発話数,縮小,拡充+縮小と有意な相関があった。また,24ヶ月児追跡で表出語数と繰り返し模倣発話数と偏相関が有意であった。
2)語の模倣と言語発達:18ヶ月は有意な相関なし,21,24ヶ月観察時点では語拡充,縮小との有意な相関,24ヶ月の語拡充,語縮小模倣と追跡時点の有意な相関があったが,観察時点語数を制御すると有意な相関はなかった。
3)助詞・助動詞の模倣と言語発達:21,24ヶ月縮小模倣,24ヶ月拡充模倣と観察時点の有意な相関,21ヶ月拡充と追跡時点の有意な相関があった。
結論:母の模倣は子の発話の拡充模倣が多かった。観察時点の母の模倣と言語の関係はモデルとなる子の言語能力を反映していると考えられる。24ヶ月児で母の子の語の模倣が追跡時点の子の言語発達に関係していたが,観察時点の言語水準を制御すると相関は消えた。24ヶ月の母の繰り返し模倣発話だけが観察時点の語数を制御しても追跡33ヶ月の表出語数と偏相関があった。
方 法:対象児:追跡データがある 18ヶ月児14名,21ヶ月児19名,24ヶ月児14名,計47名。
手続き:一定のままごと遊具での母子の自由な5分間の遊びを2方向より録画し,トランスクリプションを作成し,音声・言語模倣を抽出した。
分析方法と指標:模倣指標:1.模倣の種類:子のモデル発話に対して,a.モデルと同じ模倣(繰り返し),b.拡充模倣,c.部分模倣(縮小),d.拡充+縮小模倣の各発話数の頻度を算出した。2.模倣の内容:モデルが感嘆詞だけの場合とモデルが語,文であるときに感嘆詞,助詞・助動詞,語のそれぞれの拡充,縮小の模倣頻度を算出した。言語指標:母親が記入したJCDIsの表出語数と21, 24,33ヶ月は助詞・助動詞数を算出した。
結 果:1.模倣の年齢推移 1)模倣の種類:分散分析を行った結果,年齢の主効果は10%水準で有意傾向が あり(F(2,44) = 3.131, p<.10),18ヶ月児が21,24ヶ月に比べ模倣の頻度が低い傾向があった。模倣の種類は有意差があり(F(3, 132) = 20.169, p<.001), 繰り返し= 拡充 > 拡充+縮小 > 縮小の順であった。模倣の種類×年齢の交互作用は有意でなかった(F(6, 132) = 1.081, ns)
2) 模倣内容:図1に18, 21, 24ヶ月児の模倣内容の生起頻度を示した。分散分析を行った結果,年齢の主効果は有意で(F(2,44) = 3.316, p<.05),24ヶ月児が18ヶ月児よりも有意に模倣内容数が多かった。6種類の模倣内容数も有意な差があり(F(5, 220) = 21.215, p<.001),母の模倣内容は助詞・助動詞拡充 = 語拡充 > 感嘆詞拡充 > 語縮小= 感嘆詞縮小 =助詞・助動詞縮小であった。年齢×模倣内容の交互作用が有意 (F(10, 220) = 2.636,p <.01)で,助詞・助動詞の拡充は年齢差があり(F(2,46) = 3.369, p< .05),21ヶ月が18ヶ月より有意に頻度が高かった。語拡充も年齢差が有意で(F(2,46) = 3.841, p<.05),21ヶ月が18ヶ月より有意に頻度が高かった。
2.母親の模倣発話と子どもの言語発達:観察時点,33ヶ月時点,観察時点の言語水準を制御した33ヶ月時点,の言語と模倣との偏相関係数を算出した。18ヶ月表出語数と33ヶ月表出語数の相関は.115,21ヶ月と33ヶ月は.707,24ヶ月と33ヶ月は.635であった。21ヶ月助詞・助動詞得点と33ヶ月助詞・助動詞得点との相関は.704, 24ヶ月と33ヶ月は.608であった。
1)模倣発話数,各種類模倣発話数と子の表出語数の相関:観察時点の相関,追跡時点33ヶ月の表出語数の相関と,観察時点の表出語数を制御した偏相関係数は,18ヶ月児は有意な相関がある模倣はなく,21ヶ月児は観察時点模倣発話数,拡充,縮小と相関があったが,追跡時点では0次相関も偏相関も有意な模倣はなかった。24ヶ月児は観察時点で拡充+縮小と有意な相関,33ヶ月追跡時点で模倣発話数,縮小,拡充+縮小と有意な相関があった。また,24ヶ月児追跡で表出語数と繰り返し模倣発話数と偏相関が有意であった。
2)語の模倣と言語発達:18ヶ月は有意な相関なし,21,24ヶ月観察時点では語拡充,縮小との有意な相関,24ヶ月の語拡充,語縮小模倣と追跡時点の有意な相関があったが,観察時点語数を制御すると有意な相関はなかった。
3)助詞・助動詞の模倣と言語発達:21,24ヶ月縮小模倣,24ヶ月拡充模倣と観察時点の有意な相関,21ヶ月拡充と追跡時点の有意な相関があった。
結論:母の模倣は子の発話の拡充模倣が多かった。観察時点の母の模倣と言語の関係はモデルとなる子の言語能力を反映していると考えられる。24ヶ月児で母の子の語の模倣が追跡時点の子の言語発達に関係していたが,観察時点の言語水準を制御すると相関は消えた。24ヶ月の母の繰り返し模倣発話だけが観察時点の語数を制御しても追跡33ヶ月の表出語数と偏相関があった。