[PG091] 子どもの気質と遊び
Keywords:幼児, 気質, 遊び
【目的】子どもの気質と遊びの関係はこれまで研究されてはいるが、例えば、一人遊びのように、社会性発達の観点から問題とされるような遊びのタイプに焦点化したものが多い。遊びは、その活動自体が気質発達に影響し(Nakagawa et al., 2013)、また子どもが自身の気質に合った遊びを能動的に選択することを想定すると、相乗的に気質発達に影響を及ぼす可能性がある。しかし、気質と遊びの種類の関係についての研究は殆どない。よって、本研究ではその関連性について検討する。
【方法】参加者:調査I対象者(日本国内5ヶ所の幼稚園と保育所の3歳から6歳児)872名の内、調査IIへの協力を承諾した母親118名である。
質問紙:子どもの気質は調査Iで、Children´s Behavior Questionnaire(CBQ)日本語版を用いて測定し、「外向性・高潮性」(ES)(α=.76)、「否定的情動性」(NA)(α=.75)、「エフォートフル・コントロール」(EC)(α=.69)の気質因子尺度得点を算出した。調査IIでは、遊び21種類について、その頻度(8段階尺度)の回答を求めた。
【結果】遊び項目について分布に偏りのある2項目を除外し、因子分析(主因子法、スクリープロットにより因子数決定、バリマックス回転)を行った。5項目が不適切な負荷量を示したため、これらを除外し再度因子分析を行った(表1)。第一因子から順に、「外遊び」(α=.80)、「構成遊び」(α=.77)、「想像遊び」(α=.62)、「音楽遊び」(α=.67)と命名し、因子尺度得点は各因子に高い負荷量を示した項目平均値により算出した。
遊びの因子尺度得点と気質の相関をみると、ESは「外遊び」と、ECは「想像遊び」や「音楽遊び」と関係した(表2)。子どもの気質は性別、年齢、通園施設により違いがあり(Kusanagi et al., 2013)、これらをコントロールするため、階層的回帰分析を行った。結果、ESのモデル1(性別、通園施設)は有意となったが、モデル2での遊び投入によるF変化量は有意とならなかった。ECに関しては、モデル1(性別、年齢)は有意ではなかったが、モデル2は有意となり(F(4,113)=3.69, p<.01)、「音楽遊び」が有意であった(β= .24, p<.05)。
【考察】子どもの気質は遊びの種類と関係し、特にEC発達と音楽遊びが関連することが判明した。「音楽遊び」の因子尺度には歌や踊り、楽器演奏項目が含まれるが、これらの遊びには外的刺激(メロディやテンポ)に合わせる、即ち、自己コントロールする、という側面が含まれる。この様な遊び特性がEC発達を促すのかもしれないが、逆にEC発達の進んだ幼児がこれらの遊びを好んで行っているという可能性も排除できない。よって、今後は因果の方向を見極める研究が必要であろう。
本研究は科研費基盤研究B(23330208)の助成を受けた。
【方法】参加者:調査I対象者(日本国内5ヶ所の幼稚園と保育所の3歳から6歳児)872名の内、調査IIへの協力を承諾した母親118名である。
質問紙:子どもの気質は調査Iで、Children´s Behavior Questionnaire(CBQ)日本語版を用いて測定し、「外向性・高潮性」(ES)(α=.76)、「否定的情動性」(NA)(α=.75)、「エフォートフル・コントロール」(EC)(α=.69)の気質因子尺度得点を算出した。調査IIでは、遊び21種類について、その頻度(8段階尺度)の回答を求めた。
【結果】遊び項目について分布に偏りのある2項目を除外し、因子分析(主因子法、スクリープロットにより因子数決定、バリマックス回転)を行った。5項目が不適切な負荷量を示したため、これらを除外し再度因子分析を行った(表1)。第一因子から順に、「外遊び」(α=.80)、「構成遊び」(α=.77)、「想像遊び」(α=.62)、「音楽遊び」(α=.67)と命名し、因子尺度得点は各因子に高い負荷量を示した項目平均値により算出した。
遊びの因子尺度得点と気質の相関をみると、ESは「外遊び」と、ECは「想像遊び」や「音楽遊び」と関係した(表2)。子どもの気質は性別、年齢、通園施設により違いがあり(Kusanagi et al., 2013)、これらをコントロールするため、階層的回帰分析を行った。結果、ESのモデル1(性別、通園施設)は有意となったが、モデル2での遊び投入によるF変化量は有意とならなかった。ECに関しては、モデル1(性別、年齢)は有意ではなかったが、モデル2は有意となり(F(4,113)=3.69, p<.01)、「音楽遊び」が有意であった(β= .24, p<.05)。
【考察】子どもの気質は遊びの種類と関係し、特にEC発達と音楽遊びが関連することが判明した。「音楽遊び」の因子尺度には歌や踊り、楽器演奏項目が含まれるが、これらの遊びには外的刺激(メロディやテンポ)に合わせる、即ち、自己コントロールする、という側面が含まれる。この様な遊び特性がEC発達を促すのかもしれないが、逆にEC発達の進んだ幼児がこれらの遊びを好んで行っているという可能性も排除できない。よって、今後は因果の方向を見極める研究が必要であろう。
本研究は科研費基盤研究B(23330208)の助成を受けた。