[PH002] 養護教諭のコーディネーションに関する研究
コーディネーションと学校組織に関するインタビュー調査より
Keywords:コーディネーション, 養護教諭, 学校組織
1.研究の目的
子どもたちの心身の健康問題が複雑さを増す昨今,コーディネーションは養護教諭が児童生徒の心身にアセスメントしたり,支援を行ったりする際に必要不可欠な行動であり,資質である。これまでにも,養護教諭のコーディネーション行動や能力を可視化する研究は進められつつあるが,その能力の発揮に影響すると思われる学校組織と関連した研究はほとんどみられない。そこで本研究では,ベテラン養護教諭へのインタビューを題材にし,養護教諭がコーディネーション行動を促進する要因をどのように捉えているか検討することを目的とした。
2.研究方法
調査方法は,ベテラン養護教諭(勤務年数30年以上)で調査協力に同意があった2名を対象に,平成26年3月にひとり約60分の半構造的面接調査を行った。面接開始前には目的や個人名は匿名にする事等の説明を行い,逐語録作成のための録音の許可を得た。倫理的配慮として,個人情報に配慮して,事例の個人名は特定されないようにすること等について説明し了解を得た。インタビューでは,これまでの経験でコーディネーション行動がよくできたと思った場面,困難だと思った場面,その時の職場の雰囲気との関連について話をするよう依頼した。
インタビューはすべて逐語に起こし,逐語録上のデータを分析対象として養護教諭養成の研究職1名と現職養護教諭1名により検討した。データ分析に当たっては,木下(2003)の修正版グランデッド・セオリー・アプローチを適用し,インタビュー対象者の発言からカテゴリーを生成することを目指した。
3.結果と考察
まず,ステップ1では,発言者の内容を一発言ごとにまとめたデータを作成した。次に,ステップ2では発言データの概念化を行い,15の概念が生成された。そして,ステップ3では,ステップ2で生成された「概念」において,共通要素のある「概念のまとまり」を作り,「下位カテゴリー」化を図った。その結果,15の概念は【管理職のリーダーシップ】,【職場の雰囲気】,【養護教諭の役割と位置】,【養護教諭による連携のきっかけづくり】,
【養護教諭による動きやすいチームづくり】,【養護教諭としての視座】,【養護活動の適切な評価】の7つの「下位カテゴリー」にまとめられた。
さらにステップ4では,「下位カテゴリー」をさらに「上位カテゴリー」として〈リーダーシップ〉, 〈評価〉,〈雰囲気〉,〈養護教諭のコーディネーション能力〉,〈養護教諭の役割・権限〉の5つにまとめた。
最後にステップ5では,ステップ2~4で生成された概念,下位カテゴリー,上位カテゴリーについて相互関係を検討し,概念図を作成した(Figure1)。その結果,【管理職のリーダーシップ】は【職場の雰囲気】に影響し,【養護教諭による連携のきっかけづくり】や【養護教諭による動きやすいチームづくり】にも間接的に影響していると思われた。同時に【養護教諭による連携のきっかけづくり】や【養護教諭による動きやすいチームづくり】も【職場の雰囲気】に影響を与えており,このような相互関係が協働的な雰囲気の醸成に繋がることが示唆された。また,【管理職による養護活動の適切な評価】と【養護教諭の役割と位置】及び【養護教諭としての視座】も相互に影響し合っており,養護教諭のコーディネーション能力の発揮に影響していると考えられた。
4.研究の限界と今後の課題
本研究はデータ数や養護教諭側の認知のみであることから,得られたカテゴリーは限定された対象者からの知見である。今後は管理職から捉えた知見等を加え,多方面から検討していきたい。
耀?
子どもたちの心身の健康問題が複雑さを増す昨今,コーディネーションは養護教諭が児童生徒の心身にアセスメントしたり,支援を行ったりする際に必要不可欠な行動であり,資質である。これまでにも,養護教諭のコーディネーション行動や能力を可視化する研究は進められつつあるが,その能力の発揮に影響すると思われる学校組織と関連した研究はほとんどみられない。そこで本研究では,ベテラン養護教諭へのインタビューを題材にし,養護教諭がコーディネーション行動を促進する要因をどのように捉えているか検討することを目的とした。
2.研究方法
調査方法は,ベテラン養護教諭(勤務年数30年以上)で調査協力に同意があった2名を対象に,平成26年3月にひとり約60分の半構造的面接調査を行った。面接開始前には目的や個人名は匿名にする事等の説明を行い,逐語録作成のための録音の許可を得た。倫理的配慮として,個人情報に配慮して,事例の個人名は特定されないようにすること等について説明し了解を得た。インタビューでは,これまでの経験でコーディネーション行動がよくできたと思った場面,困難だと思った場面,その時の職場の雰囲気との関連について話をするよう依頼した。
インタビューはすべて逐語に起こし,逐語録上のデータを分析対象として養護教諭養成の研究職1名と現職養護教諭1名により検討した。データ分析に当たっては,木下(2003)の修正版グランデッド・セオリー・アプローチを適用し,インタビュー対象者の発言からカテゴリーを生成することを目指した。
3.結果と考察
まず,ステップ1では,発言者の内容を一発言ごとにまとめたデータを作成した。次に,ステップ2では発言データの概念化を行い,15の概念が生成された。そして,ステップ3では,ステップ2で生成された「概念」において,共通要素のある「概念のまとまり」を作り,「下位カテゴリー」化を図った。その結果,15の概念は【管理職のリーダーシップ】,【職場の雰囲気】,【養護教諭の役割と位置】,【養護教諭による連携のきっかけづくり】,
【養護教諭による動きやすいチームづくり】,【養護教諭としての視座】,【養護活動の適切な評価】の7つの「下位カテゴリー」にまとめられた。
さらにステップ4では,「下位カテゴリー」をさらに「上位カテゴリー」として〈リーダーシップ〉, 〈評価〉,〈雰囲気〉,〈養護教諭のコーディネーション能力〉,〈養護教諭の役割・権限〉の5つにまとめた。
最後にステップ5では,ステップ2~4で生成された概念,下位カテゴリー,上位カテゴリーについて相互関係を検討し,概念図を作成した(Figure1)。その結果,【管理職のリーダーシップ】は【職場の雰囲気】に影響し,【養護教諭による連携のきっかけづくり】や【養護教諭による動きやすいチームづくり】にも間接的に影響していると思われた。同時に【養護教諭による連携のきっかけづくり】や【養護教諭による動きやすいチームづくり】も【職場の雰囲気】に影響を与えており,このような相互関係が協働的な雰囲気の醸成に繋がることが示唆された。また,【管理職による養護活動の適切な評価】と【養護教諭の役割と位置】及び【養護教諭としての視座】も相互に影響し合っており,養護教諭のコーディネーション能力の発揮に影響していると考えられた。
4.研究の限界と今後の課題
本研究はデータ数や養護教諭側の認知のみであることから,得られたカテゴリーは限定された対象者からの知見である。今後は管理職から捉えた知見等を加え,多方面から検討していきたい。
耀?