The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 5階ラウンジ (5階)

[PH019] 友人関係と生徒-教師関係が学校適応に与える影響(1)

中国の高校生を対象として

王松1, 石本雄真2, 日潟淳子3 (1.関西学院大学, 2.立命館大学, 3.近大姫路大学)

Keywords:友人関係, 学校適応, 中国の高校生

問題と目的
中国においては,不登校のように心理的な要因で学校に行けないということが問題として取り上げられることはないが,中国の中学生を対象とした調査では半数以上の生徒が欠席願望を持っていることが示されており(?,2006),潜在的な学校不適応問題が存在していることが窺われる。王・石本・日潟(2014)では,中学生の友人関係と生徒-教師関係と学校適応間との関連について調査を行い,生徒-教師関係,友人関係は中学生の学校適応感に影響することが示唆された。本研究では中国の高校生における学校適応に与える友人関係の影響,生徒-教師関係の影響について検討する。

方法
調査対象者:中国の高等学校3年生385名(男子163名,女子208名,欠損14名)
実施時期:2012年11月
質問紙内容:①中高生用学校生活尺度(大久保・青柳,2004)[20項目],②学校生活享受感尺度(古市・玉木,1994)[10項目],③自尊心尺度(Rosenberg,1965)[9項目],④友人への同調性尺度(石本ら,2009)[9項目],⑤友人との心理的距離尺度(石本ら,2009)[8項目](いずれも5件法)。尺度については,すべて中国語に翻訳し,バックトランスレーションを行った。

結果と考察
1.学校生活のあり方,友人スタイル及び学校適応感の性差
各尺度得点について,男女の平均値とSDを算出し,それぞれの差のt検定を行った。その結果,すべての尺度の変数について男女差がみられなかった。中国の中学生と同様に,高校生においても男女ともに同じような意識を持っていることが示された。また,友人関係と心理的距離においては日本と異なった結果となり,文化的相違がみられた。

2.学校生活のあり方と学校適応感との関連
学校生活尺度(友人関係,教師-生徒関係)と学校生活享受感,自尊心との相関係数を算出した(Table 1)。その結果,男子の教師-生徒関係と自尊心との間以外の得点間に有意な正の相関がみられた。中国の中学生と同様に,高校生の教師-生徒関係も学校生活享受感と強く関連した。

3.友人関係スタイルと学校適応感との関連
心理的距離と同調性の各平均値からの高低で,男女それぞれ4群(友人スタイル:尊重群[同低,距近],密着群[同高,距近],孤立群[同低,距遠],表面群[同高,距遠])に分け,分析を行った。学校適応感との関連をとらえるために,友人関係スタイル×学校生活享受感及び自尊心の1要因分散分析を行った。男子の学校生活享受感,自尊心及び女子の自尊心に有意差がみられた(Table 2)。多重比較の結果,男子の学校生活享受感では,密着群が孤立群より有意に得点が高かった。男子の自尊心では,密着群が表面群より有意に得点が高かった。


付記 本研究は公益財団法人松下幸之助記念財団の助成を受けて行われた。