[PH020] 友人関係と生徒-教師関係が学校適応に与える影響(2)
日本の高校生を対象として
Keywords:学校適応感, 友人関係, 青年期
問題と目的
石本・王・日潟(2014)において,中学生の友人関係と生徒-教師関係と学校適応感との関連についての日中比較を行い,両国間の比較検討から日本の中学生は友人関係と学校適応感の関連が高いことが示された。この結果を踏まえ,日本の高校生では友人関係と学校適応感の関連が中学生とは異なる結果が得られていることから(石本・久川・齊藤・上長・則定・日潟・森口,2009),一連の研究において2国間の高校生の友人関係,教師-生徒関係と学校適応感との関連をとらえ,両国の高校生の学校適応の向上に結び付く知見を得ることを試みた。本研究では日本の高校生の結果を示す。
方法
1)調査対象者:K県下の高等学校(1校) 3年生212名(男子84名 女子128名)
2)実施時期:2012年11月
3)質問紙内容:①友人への同調性尺度(石本ら,2009)[9項目]5件法 ②友人との心理的距離尺度(石本ら,2009)[8項目]5件法 ③中高生用学校生活尺度(大久保・青柳,2004)[20項目]5件法 下位尺度は「友人関係」「教師-生徒関係」「学業に対する態度」④学校生活享受感尺度(古市・玉木,1994)[10項目]5件法 ⑤自尊心尺度(福岡県生活推進部青少年アンビシャス運動推進室,2009)[10項目]5件法
4)フェイス項目:性別,学年等
結果と考察
①性別による各尺度得点の比較
性別によってt検定を行ったところ,友人関係と心理的距離に有意な差が見られた(t(205)=2.15,p<.05;t(206)=2.27,p<.05)。友人関係では女子が男子よりもポジティブな態度を示し,心理的距離では男子が女子よりも距離を感じていることが示された。
②学校生活のあり方と学校適応感との関連
男女ともに学校生活享受感には学校生活尺度のすべての下位尺度に中程度の正の相関が見られた(Table 1)。また友人関係は自尊心と関連した。
③友人スタイルと学校適応感との関連
石本ら(2009)にならい,友人スタイルとして,男女それぞれの同調性の平均値で分割した高群,低群と心理的距離の平均値で分割した高群,低群を掛け合わせた友人関係スタイル4群(尊重群[同低,距近],密着群[同高,距近],孤立群[同低,距遠],表面群[同高,距遠])により検討する。
男女とも尊重群・密着群の学校生活享受感は高いことが示された(Figure 1)。自尊心は女子のみ尊重群が表面群よりも高いことが示された。
付記 本研究は公益財団法人松下幸之助記念財団の助成を受けて行われた。
石本・王・日潟(2014)において,中学生の友人関係と生徒-教師関係と学校適応感との関連についての日中比較を行い,両国間の比較検討から日本の中学生は友人関係と学校適応感の関連が高いことが示された。この結果を踏まえ,日本の高校生では友人関係と学校適応感の関連が中学生とは異なる結果が得られていることから(石本・久川・齊藤・上長・則定・日潟・森口,2009),一連の研究において2国間の高校生の友人関係,教師-生徒関係と学校適応感との関連をとらえ,両国の高校生の学校適応の向上に結び付く知見を得ることを試みた。本研究では日本の高校生の結果を示す。
方法
1)調査対象者:K県下の高等学校(1校) 3年生212名(男子84名 女子128名)
2)実施時期:2012年11月
3)質問紙内容:①友人への同調性尺度(石本ら,2009)[9項目]5件法 ②友人との心理的距離尺度(石本ら,2009)[8項目]5件法 ③中高生用学校生活尺度(大久保・青柳,2004)[20項目]5件法 下位尺度は「友人関係」「教師-生徒関係」「学業に対する態度」④学校生活享受感尺度(古市・玉木,1994)[10項目]5件法 ⑤自尊心尺度(福岡県生活推進部青少年アンビシャス運動推進室,2009)[10項目]5件法
4)フェイス項目:性別,学年等
結果と考察
①性別による各尺度得点の比較
性別によってt検定を行ったところ,友人関係と心理的距離に有意な差が見られた(t(205)=2.15,p<.05;t(206)=2.27,p<.05)。友人関係では女子が男子よりもポジティブな態度を示し,心理的距離では男子が女子よりも距離を感じていることが示された。
②学校生活のあり方と学校適応感との関連
男女ともに学校生活享受感には学校生活尺度のすべての下位尺度に中程度の正の相関が見られた(Table 1)。また友人関係は自尊心と関連した。
③友人スタイルと学校適応感との関連
石本ら(2009)にならい,友人スタイルとして,男女それぞれの同調性の平均値で分割した高群,低群と心理的距離の平均値で分割した高群,低群を掛け合わせた友人関係スタイル4群(尊重群[同低,距近],密着群[同高,距近],孤立群[同低,距遠],表面群[同高,距遠])により検討する。
男女とも尊重群・密着群の学校生活享受感は高いことが示された(Figure 1)。自尊心は女子のみ尊重群が表面群よりも高いことが示された。
付記 本研究は公益財団法人松下幸之助記念財団の助成を受けて行われた。