日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

2014年11月9日(日) 13:30 〜 15:30 5階ラウンジ (5階)

[PH045] 子どもの手本としての大人の機能の変化3

2013年と2001年における手本にならない保育者の言動の比較

大越和美1, 西館有沙2, 西村実穂3, 安心院朗子4, 枝野裕子5, 水野智美6, 徳田克己6 (1.子ども支援研究所, 2.富山大学, 3.東京未来大学, 4.目白大学, 5.筑波大学大学院, 6.筑波大学)

キーワード:手本, 保育者, 変化

目 的
徳田・水野(2002)は、「保育者は子どもの手本になっているのか」について、また「手本になること」を保育者がどのようにとらえているのかについて明らかにした。本稿では、徳田・水野(2002)と同様の調査を行い、保育者の言動や手本となることについての認識に変化がみられるのかどうかを明らかにしたいと考えた。
方 法
(1)手続き
2013年に行った調査および徳田・水野(2002)の調査ともに、自記式、無記名式の質問紙調査であった。2013年に行った調査では、筆者らが講師として参加した保育者を対象とした研修会において質問紙を配布し、研修会の開始前あるいは終了後に記入するように依頼した。留置式で回収した。2001年に行った調査では、郵送によって質問紙を配布し、郵便による返送をもとめた。調査時期はそれぞれ2013年7月~8月、2001年2月~3月。
(2)調査対象者
2013年:宮城県、東京都、静岡県、愛知県、福岡県、沖縄県で開催された研修会(6か所)のいずれかに参加した保育者683名
2001年:関東地方にある短期大学を卒業し、調査時点で保育者として勤務していた476名
結 果
子どもに指示をしながら、保育者自身ができていない言動について尋ねた結果(表1)、2001年よりも、現在の方が「ろうかを走る」、「ひとの悪口を言う」、「けんかをする」を選択する者が有意に増えており、その他の言動については同程度になされていた。また、表1以外に、本調査では新たに選択項目を追加して尋ねたところ、「横入りをしてはいけないと子どもに言いながら、自分は割り込んでしまう」(71%)、「横断歩道のないところを渡ってはいけないと言いながら、自分は渡ることがある」(62%)、「規則正しい生活をするように子どもに言いながら、自分は休日に朝寝坊をしている」(57%)、「外に行くときは靴を履き替えるように言いながら自分は履き替えないことがある」(57%)と答えた者が半数以上いた。
これらの行動を子どもから指摘された際にどのように対応しているのかを尋ねたところ(選択式、複数回答)、「後片付けをしない」「うそをつく」「ろうかを走る」ことについては、「非を認めて謝る」という対応をする者が多かった(前から、子どもから指摘を受けた者のうちの79%、70%、69%)。しかし、「ロッカーや机の上に乗る」「生き物を粗末に扱う」ことを指摘された場合には、「言い訳をする」者が多かった(前から、88%、72%)。また、「ロッカーや机の上に乗る」ことについては、「子どもはしてはいけないが、大人は良いことを伝える」という対応をしている者も多くいた(86%)。さらに、「正しい方法でやり直す」ことをした者は、子どものどの指摘に対しても2割以下であった。