日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PH

(5階ラウンジ)

2014年11月9日(日) 13:30 〜 15:30 5階ラウンジ (5階)

[PH070] 幼児の自称詞の使用(1)

2001年と2013年の調査結果を比較して

小嶋玲子 (桜花学園大学)

キーワード:幼児, 自称詞, 13年間の変化

目的 筆者は,2001年にA市の公立幼稚園(2年保育)の11園の園児810名(男子413名,女子397名)の自称詞使用の調査を行い報告した。(小嶋2003,2004,2005日教心)。本研究では,2013年に同様の調査を行い,12年間の変化を比較検討する。
方法 調査対象者:A市公立幼稚園(2年保育)13園の園児647名(男子345名 女子302名)
調査期間:2013年12月 回収率:100%
調査方法:担任が把握している自称詞を記入してもらう。
結果 回収されたデータの内,日本語を話さない1名と自称詞を口にしない2名(内緘黙児1名)を除いた644名(男子343名,女子301名)のデータを分析した。
使用される自称詞を「一人称(のみ)」,「名前・愛称(のみ)」「一人称と名前・愛称の混合」「その他」に分類した。「その他」はわずかであったので「一人称」「名前・愛称」「混合(含その他)」の3分類で,2013年の年中児,年長児の結果を男女別に2001年の結果と併せて図1に示した。また,2013年の結果を学年間と男女間でχ2検定を行い,2001年の結果と併せて表1,2に示した。
2013年の結果は2001年同様,学年間(表1)と男女間(表2)で自称詞の使用の割合に有意な差が認められた。
学年間比較のχ2検定後の残差分析の結果,2013年男子年長児は年中児より「名前・愛称」が少なく,「一人称」と「混合」使用が多い。2013年女子年長児は年中児より「名前・愛称」が少なく,「混合」は多く,「一人称」使用に差がない結果であった(2001年女子では,年長児と年中児の「一人称」使用の割合に有意な差が認められた)。
男女間比較での残差分析では, 2013年は,2001年と同様,年中児・年長児で,女子は男子に比べて「名前・愛称」の使用が多く,「一人称」が少ない結果となった。
2001年と2013年の比較(表3)では,年中児では男女とも有意な差は認められず,年長児で男女ともに差が有意であった。残差分析の結果(表4),2001年に比較して2013年は,年長児男女共に「一人称」の使用が少なく,年長男子は「混合」使用が多い,年長女子は「名前・愛称」使用が多い。
考察 幼児期において男女で自称詞の使い方が異なり,年中児と年長児では,使う自称詞の割合が異なることが2001年と同様に確認できた。一方2013年の結果は,2001年の結果と次の点で異なっていた。年中児の自称詞使用には,男女共12年間に有意な差は認められなかったが,年長児の自称詞使用には有意な差が認められた。年長児は,男女共に「一人称(のみ)」の使用が減少しており,男子は「混合」使用の増加,女子は「名前・愛称(のみ)」の増加が認められた。2001年の年長児と年中児に見られた「一人称(のみ)」の使用の有意差が2013年女子には見られず,年長児女子の「一人称(のみ)」使用の減少割合が大きいことが特徴である。