日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PH

(501)

2014年11月9日(日) 13:30 〜 15:30 501 (5階)

[PH088] 地域スポーツにおける指導者・仲間・親の関わり(3)

スポーツハラスメントが選手のバーンアウトに及ぼす影響

藤後悦子1, 大橋恵1, 井梅由美子1 (東京未来大学)

キーワード:地域スポーツ, 選手同士のいじめ, スポーツハラスメント

はじめに
地域スポーツは,ボランティアコーチやチームの親達に支えられて成り立っている。これら選手を取り囲む周囲の大人たちは,選手に対してポジティブな影響を与えると同時にネガティブな影響を与える場合もありうる。選手に対するスポーツハラスメント(指導者やチームメイトからの否定的言動)は通常指導者やチームメイトによるものと想定されがちだが,チームの親達や選手自身の親もハラスメントの加害者となりうる(井梅・大橋・藤後,2014;藤後,2011)。
本研究では,指導者やチームの親達のハラスメントが選手同士のいじめや選手自身の親の態度に影響を与え,最終的に選手のバーンアウトを促すという仮説を立て検証することとした。なお藤後(2013)の大学生を対象とした先行研究では,選手自身は小学校時代の自身を取り巻くチームの親達の状況はあまり認識していなかった。そこで,親達の関係には当事者である選手の親を対象とすることでより現状認識が可能になると考え,本研究は調査対象を選手の親とすることとした。
方法
調査対象者 大橋ら(本大会)と同様である。
調査項目a)属性b)ハラスメント被害に関する9項目c)親の関わり15項目d)バーンアウト10項目,d)選手・チームの競技レベル各1項目。
結果と考察
尺度の構造を確認するために,因子分析を行い,負荷の高い項目の平均値を使用した。指導者,チームの親たちのハラスメント,選手同士のいじめ,選手自身の親の態度が,選手のバーンアウトに与える影響をパス解析を用いて父親・母親別に分析をした。その結果はFigure1,2に示す通り,コーチとチームの親達のハラスメントがあるほど,選手同士によるいじめが多かった。また,選手自身の親の強制的かかわりがあるほど,仲間いじめやチームの親からのハラスメントがあるほど,選手の競技レベルが低いほど,選手はバーンアウトしやすいことが明らかになった。媒介変数としての選手自身の親の強制的なかかわりは,チームの親達のハラスメントがあるほど,強まっていた。また,チーム主義的なかかわりや共感的な関わりは,母親のほうが父親より多面的な規定要因を認識していた。以上より,子どものスポーツバーンアウト防止のためには,コーチ,選手,チームの親達すべてに対しての啓発活動が急務である。