The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(501)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PH094] 東日本大震災後に福島県内の仮設住宅で生活する子どものメンタルヘルス(5)

中学生における睡眠,食事,遊び,および学習の状況

三浦正江1, 三浦文華2, 岡安孝弘3 (1.東京家政大学, 2.銀座山崎メンタルクリニック, 3.明治大学)

Keywords:仮設住宅在住, 生活状況, 中学生

【問題と目的】
東日本大震災に伴う福島原子力発電所事故は,福島県内の児童生徒に様々な影響を及ぼしていると推察される。そこで本研究では,原発事故に伴い仮設住宅に居住する中学生を対象に,生活状況の実態調査を行うことを目的とした。
【方 法】
調査対象 ①福島県内の仮設住宅,借上げ住宅在住の中学生10名(男子4名,女子6名),②埼玉県公立中学校1校の1―3年生530名(男子258名,女子270名,不明2名)を対象とした。
調査内容 最近1ヶ月間の①睡眠(中途・早期覚醒:4択:全然―よく),②食生活(朝食・夕食:4択:全く食べなかった―毎日食べた;相手:一人,家族の誰か,家族全員,友だち,近所の人,その他から複数回答;美味しさ:4択:全然―とても),③学習(勉強時間;集中:4択:全然―とても),④遊び(場所:自宅,広場・公園,友人宅,学校,その他から複数回答;相手:一人,兄弟姉妹,友だち,兄弟姉妹以外の家族,近所の人,その他から複数回答;内容:スポーツ,漫画・読書,ゲーム,TV,PC,その他から複数回答)。
実施時期と手続き 東京家政大学倫理委員会に承認された手続きで,2013年11月―12月に実施。
【結果と考察】
睡眠の状況 中途覚醒が「よく」「わりと」あったと回答した割合は,仮設の生徒で2割,埼玉県内の生徒で約1割であった(Figure 1)。早期覚醒は仮設で30%,埼玉県内で約14%であった。いずれも,仮設在住の生徒の方が多く経験している。
食事の状況 朝食では,埼玉県内の生徒で「毎日」「わりと」食べた割合が91.99%に対して,仮設の生徒では70.00と少なかった。一方,夕食については埼玉県内で97.93%,仮設で90.00%であり,朝食に比べて大きな違いはみられなかった。
食事をした相手については,仮設,埼玉県内のいずれも「家族全員(仮設60.00%,埼玉42.45%)」と「家族の誰か(仮設40.00%,埼玉72.08%)」が多く,「一人」は約30%(仮設30.00%,埼玉26.23%)であった。居住地にかかわらず,家族と一緒に食事をする傾向がみられる。また,食事を美味しく食べているかについては,埼玉県内では91.89%が「とても」「わりと」と回答したのに対して,仮設では70.00%と少ない傾向にあった。
遊びの状況 遊んだ場所として埼玉県内の3割以上の生徒が選択した回答は,「自宅(52.45%)」「広場・公園(38.49%)」「友人宅(32.83%)」であった。一方,仮設在住で3割以上の生徒が回答したのは「自宅」と「学校」で(各30.00%),「広場・公園」が10.00%,「友人宅」が20.00%,「学校」と「その他」が各30.00%であった。
遊び相手は,居住地にかかわらず「友だち」が最も多かった(仮設80.00%,埼玉81.70%)。また遊び内容は,埼玉県内では「ゲーム(51.51%)」と「スポーツ(43.21%)」が多く,仮設では「スポーツ(40.00%)」が最も多く,次いで「ゲーム」と「PC」であった(各30.00%)。
学習の状況 学校外の学習時間は,仮設の生徒で1時間半―2時間に集中(77.78%)しているのに対して,埼玉県内では1時間半までが65.27%,1時間半―2時間が15.27%,残りは2時間以上と分散していた。本研究対象の仮設在住生徒がNPO法人による放課後学習支援を受けていることが理由の一つとして示唆される。一方,自宅学習での集中については,「とても」「わりと」集中できている生徒は仮設で50.00%,埼玉県内で47.36%であり,居住地による違いはみられなかった。
【今後の課題】
本研究は対象者が少なかったため,福島県内の様々な地域の仮設住宅で,より多くの中学生を対象とした検討を行うことが今後の課題である。