[PA021] 学級風土と教師のリーダーシップの関係
Keywords:学級風土, リーダーシップ
目 的
学級の心理社会的な個性は学級風土と呼ばれ,学級風土は子どもの学習意欲や性格などに影響を及ぼすと考えられる。本研究では,そうした学級風土と大きな関連を持つ,教師の学級運営の際に発揮するリーダーシップとの関連に焦点を当てて検討する。
方 法
調査時期と対象 2014年8月~12月,日本の小学校の教師82名(女46人,男35人,不明1人)。
調査方法 筆者の知人を通じて日本の小学校教師を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「小学生用短縮版学級風土質問紙」(伊藤, 2009),「教師リーダーシップ行動測定尺度」(三隅・矢守, 1989)。
結 果
1.調査協力教師の諸属性
82名の教師を教職歴で分類したところ,初任教師(教職歴1~10年)が31名,中堅教師(教職歴10~20年)が25名,ベテラン教師(教職歴20年以上)が26名であった。
また,リーダーシップについて,P得点,M得点それぞれの平均得点を境にP,m,M,mを定義し,その組み合わせでリーダーシップPM型の定義をした結果,PM型が26名,pM型が14名,Pm型が17名,pm型が25名であった。
2.PM型と学級風土各因子得点の関係
PM型による,学級風土の下位因子ごとの得点について1要因の分散分析を行った。
その結果,「学級活動への関与」「自然な自己開示」「学習への志向性」「規律正しさ」の得点に対してはPM型の効果が有意であり,「学級内の不和」「学校への満足度」については有意な傾向を示した。これらの中で,特に「学級活動への関与」の得点への影響をみたのが図1である。
「学級活動への関与」の得点については,PM型がPm型とpm型より有意に高く,pM型がPm型とpm型より有意に高いことが分かる。
3.P・M行動得点と学級風土各因子得点の相関
考 察
PMの「M」機能と学級風土
図1から,M行動の発揮によって「学級活動への関与」の得点が高くなることが明らかになった。加えて表1からも,M行動の発揮はP行動の発揮に較べて風土の各因子の得点との関連が強いことが示唆される。
文 献
伊藤亜矢子(2009).小学生用短縮版学級風土質問紙の作成と活用 コミュニティ心理学研究12,155-169.
三隅二不二・矢守克也(1989).中学校における学級担任教師のリーダーシップ行動測定尺度の作成とその妥当性に関する研究 教育心理学研究37, 46-54.
学級の心理社会的な個性は学級風土と呼ばれ,学級風土は子どもの学習意欲や性格などに影響を及ぼすと考えられる。本研究では,そうした学級風土と大きな関連を持つ,教師の学級運営の際に発揮するリーダーシップとの関連に焦点を当てて検討する。
方 法
調査時期と対象 2014年8月~12月,日本の小学校の教師82名(女46人,男35人,不明1人)。
調査方法 筆者の知人を通じて日本の小学校教師を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「小学生用短縮版学級風土質問紙」(伊藤, 2009),「教師リーダーシップ行動測定尺度」(三隅・矢守, 1989)。
結 果
1.調査協力教師の諸属性
82名の教師を教職歴で分類したところ,初任教師(教職歴1~10年)が31名,中堅教師(教職歴10~20年)が25名,ベテラン教師(教職歴20年以上)が26名であった。
また,リーダーシップについて,P得点,M得点それぞれの平均得点を境にP,m,M,mを定義し,その組み合わせでリーダーシップPM型の定義をした結果,PM型が26名,pM型が14名,Pm型が17名,pm型が25名であった。
2.PM型と学級風土各因子得点の関係
PM型による,学級風土の下位因子ごとの得点について1要因の分散分析を行った。
その結果,「学級活動への関与」「自然な自己開示」「学習への志向性」「規律正しさ」の得点に対してはPM型の効果が有意であり,「学級内の不和」「学校への満足度」については有意な傾向を示した。これらの中で,特に「学級活動への関与」の得点への影響をみたのが図1である。
「学級活動への関与」の得点については,PM型がPm型とpm型より有意に高く,pM型がPm型とpm型より有意に高いことが分かる。
3.P・M行動得点と学級風土各因子得点の相関
考 察
PMの「M」機能と学級風土
図1から,M行動の発揮によって「学級活動への関与」の得点が高くなることが明らかになった。加えて表1からも,M行動の発揮はP行動の発揮に較べて風土の各因子の得点との関連が強いことが示唆される。
文 献
伊藤亜矢子(2009).小学生用短縮版学級風土質問紙の作成と活用 コミュニティ心理学研究12,155-169.
三隅二不二・矢守克也(1989).中学校における学級担任教師のリーダーシップ行動測定尺度の作成とその妥当性に関する研究 教育心理学研究37, 46-54.