The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA039] 5-6歳児に画面で読み聞かせた絵本の内容理解

誤信念理解・類推と教示の効果

光田基郎 (聖霊女子短期大学)

Keywords:5-6歳児, 類推, 誤信念理解

要 約
絵本の理解における言語機能と記憶及び高次の認知機能(例:誤信念理解)の寄与を多次元尺度法で図示(例:Kim,’15)する際の類推と教示効果の効果を示す。5-6歳児24名に個別の画面で下記の絵本を読み聞かせた。偽坊主がお婆さんに「ねずみがちょろちょろ,穴から覗いた・・」と偽のお経を教えた後,お婆さんがこれをお経と思って唱えた時に泥棒が入る。泥棒は偽のお経を聞いて自分の行動を見られたと誤解,怖がって逃げた筋立てを理解させた。半数の参加者には「泥棒がお婆さんを怖がって逃げた話です。なぜかを考えて下さい」と教示。途中の挿入質問,内容再認と下位技能(誤信念理解,類推,文法,反応抑制)の成績から上記の教授効果による内容推理と類推への促進を指摘した。主成分分析では類推と誤信念理解の寄与を強調。
方 法
⒜材料:「ねずみ経」(香山美子著・東京画劇)より上記の16画面を男声での読み聞かせ仕様で録音・録画。個別に読み聞かせた後,⒝内容の再認検査とその下位技能の検査項(サリーとアン課題,類推,文法と反応抑制など計14項)への選択反応の入力を求めた。⒞参加者は秋田市内私立幼稚園5-6歳児24名(男児10, 女児14,平均月齢65; 4)であり,半数には上記の教示を,残る半数に「画面でお話を聞いて画面の質問に答えて下さい」と教示。平均の所要時間は13分。
結 果
⒜上記の読み聞かせ途中の質問,内容再認とその下位技能の検査項目毎に教示・無教示群別の正反応比を示した結果が図1である。相関分析の結果から(イ)教示条件下では誤信念課題低得点者は途中質問と推理再認成績との高い係数値,無教示では逆に誤信念理解の高得点者が途中質問―推理再認成績の高い相関関係を示す。(ロ)閲読内容と無関係の類推に関しても教示による活性化を示唆した。以上,教示は誤信念理解と推論による閲読内容の統合を促進する。(ロ)閲読文と無関連の類推も教示による活性化を示唆。以上,教示は推論の方向付けと誤信念理解(正反応抑止)と類推の寄与を促進し得る。
⒝教示条件別に主成分分析したパス図が図2である。両群の第1主成分は,類推と長文理解技能が示す高次の表象操作(Kim’15)に対応し,知識と処理資源活用を示す。教示群の第2主成分は反応抑制による誤信念理解,無教示群は誤信念理解による内容理解促進を示す。教示群の第3主成分は,文法など言語理解を,無教示群は記憶表象検索を想定。