[PA057] 部活動への適応感における部員の小集団閉鎖性と顧問教師の育成指導および主将のリーダーシップとの関係
キーワード:部活動, 顧問教師, 主将
部活動における積極性や満足感(以下,適応感)は部員の小集団閉鎖性と主将のリーダーシップの関係に応じて異なることが示唆されてきた(吉村,2005)。また吉村(2013)では,顧問教師の育成指導のあり方も重要であることが示唆されている。そこで,本研究では,中学運動部員を対象に,部活動への適応感が部員の小集団閉鎖性や顧問教師の育成指導,主将のリーダーシップのあり方に応じてどのように異なるのかを検討する。
方 法
調査対象者 運動部員については4つの中学校の運動部員2年生510名(主将を除く)を,顧問教師については510名の運動部員が所属する学校の運動部顧問教師65名を対象とした。その上で,育成指導に関する回答が得られた教師が顧問をしている部に所属する運動部員447名(男子261名,女子186名)を分析の対象とした。
調査の内容 本研究では,以下の調査を行った。回答は6件法であった。
1.運動部員への調査 部員の小集団閉鎖性と部活動への適応感は吉村(2005)を参考に尺度を作成した。主将のリーダーシップは吉村(2010)の技術指導,人間関係調整,圧力各回尺度を用いた。
2.顧問教師への調査 藤田・松原(1992)で作成された部員育成に関する10項目を用いた。
調査の実施 調査は,学級担任より部員に対して調査が実施された。また,顧問教師に対しては学校長より調査票を配布し回答してもらった。なお,調査の実施前にその概要を説明し,調査校の承諾を得て実施した。また,対象者には回答を強制するものではないことも伝えて実施した。
結 果
尺度の分析 部活動への適応感尺度については因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行い,部活動への積極的行動,主将への満足感,部活動への満足感,部への所属感の4因子解を採用し,尺度得点の算出として用いることとした。
部員の小集団閉鎖性の群化 各部員の小集団閉鎖性尺度得点が全体の平均値(M=3.56, SD=0.70)より高い場合を小集団閉鎖性H群(N=219),低い場合を小集団閉鎖性L群(N=228)とした。
主将のリーダーシップの類型化 各部員が評定したリーダーシップの各下位尺度得点を説明変数としてk-means法によるクラスター分析を行った。その結果,すべてが平均を上回る「圧力H-積極的指導群(N=138)」,圧力以外が平均値を上回る「圧力L-積極的指導群(N=101)」,すべてが平均値を下回る「圧力L-消極的指導群(N =54)」,圧力のみ平均値を上回る「圧力H-消極的指導群(N=154)」の4類型を採用した。
顧問教師の部員育成に基づいた運動部員の群化 まず,顧問教師による育成指導尺度得点について,全体の平均値(M=4.34, SD=0.78)に応じて2群化し,各群を担当する部に所属する部員にあてはめ,部員育成H群と部員育成L群に分類した。
部活動への適応感における小集団閉鎖性,育成指導およびリーダーシップとの関係 部活動への適応感各下位尺度得点各尺度得点を従属変数として,小集団閉鎖性⑵×育成指導⑵×リーダーシップ⑷の三要因分散分析(多重比較はTukeyのHSD法)を行った。
分散分析の結果,全般的に主将のリーダーシップの主効果が共通して認められたほか,部活動への積極的行動では育成指導とリーダーシップ,部への所属感では小集団閉鎖性と育成指導の交互作用が認められた。とりわけ,部への所属感では3要因の交互作用が有意であり(F(3, 429)=7.62, p<.001, MSe=1.15),圧力L-消極的指導群における小集団閉鎖性H群では育成指導L群が(F(1, 429)=8.70),小集団閉鎖性L群では育成指導H群が(F(1, 429)=11.11)それぞれ高かった。
考 察
本研究で特筆すべき結果は,全般的に低い主将の指導の場合,特定の小集団に固執しがちな部員はその小集団のみに依存して所属感を感じ,顧問教師の育成指導が効果的に機能しないことが示唆されたことである。それゆえ,顧問教師が主将を含む部員の育成を図りながら,部員の自治的活動が深まるよう計画的に支援することが必要となる。
方 法
調査対象者 運動部員については4つの中学校の運動部員2年生510名(主将を除く)を,顧問教師については510名の運動部員が所属する学校の運動部顧問教師65名を対象とした。その上で,育成指導に関する回答が得られた教師が顧問をしている部に所属する運動部員447名(男子261名,女子186名)を分析の対象とした。
調査の内容 本研究では,以下の調査を行った。回答は6件法であった。
1.運動部員への調査 部員の小集団閉鎖性と部活動への適応感は吉村(2005)を参考に尺度を作成した。主将のリーダーシップは吉村(2010)の技術指導,人間関係調整,圧力各回尺度を用いた。
2.顧問教師への調査 藤田・松原(1992)で作成された部員育成に関する10項目を用いた。
調査の実施 調査は,学級担任より部員に対して調査が実施された。また,顧問教師に対しては学校長より調査票を配布し回答してもらった。なお,調査の実施前にその概要を説明し,調査校の承諾を得て実施した。また,対象者には回答を強制するものではないことも伝えて実施した。
結 果
尺度の分析 部活動への適応感尺度については因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行い,部活動への積極的行動,主将への満足感,部活動への満足感,部への所属感の4因子解を採用し,尺度得点の算出として用いることとした。
部員の小集団閉鎖性の群化 各部員の小集団閉鎖性尺度得点が全体の平均値(M=3.56, SD=0.70)より高い場合を小集団閉鎖性H群(N=219),低い場合を小集団閉鎖性L群(N=228)とした。
主将のリーダーシップの類型化 各部員が評定したリーダーシップの各下位尺度得点を説明変数としてk-means法によるクラスター分析を行った。その結果,すべてが平均を上回る「圧力H-積極的指導群(N=138)」,圧力以外が平均値を上回る「圧力L-積極的指導群(N=101)」,すべてが平均値を下回る「圧力L-消極的指導群(N =54)」,圧力のみ平均値を上回る「圧力H-消極的指導群(N=154)」の4類型を採用した。
顧問教師の部員育成に基づいた運動部員の群化 まず,顧問教師による育成指導尺度得点について,全体の平均値(M=4.34, SD=0.78)に応じて2群化し,各群を担当する部に所属する部員にあてはめ,部員育成H群と部員育成L群に分類した。
部活動への適応感における小集団閉鎖性,育成指導およびリーダーシップとの関係 部活動への適応感各下位尺度得点各尺度得点を従属変数として,小集団閉鎖性⑵×育成指導⑵×リーダーシップ⑷の三要因分散分析(多重比較はTukeyのHSD法)を行った。
分散分析の結果,全般的に主将のリーダーシップの主効果が共通して認められたほか,部活動への積極的行動では育成指導とリーダーシップ,部への所属感では小集団閉鎖性と育成指導の交互作用が認められた。とりわけ,部への所属感では3要因の交互作用が有意であり(F(3, 429)=7.62, p<.001, MSe=1.15),圧力L-消極的指導群における小集団閉鎖性H群では育成指導L群が(F(1, 429)=8.70),小集団閉鎖性L群では育成指導H群が(F(1, 429)=11.11)それぞれ高かった。
考 察
本研究で特筆すべき結果は,全般的に低い主将の指導の場合,特定の小集団に固執しがちな部員はその小集団のみに依存して所属感を感じ,顧問教師の育成指導が効果的に機能しないことが示唆されたことである。それゆえ,顧問教師が主将を含む部員の育成を図りながら,部員の自治的活動が深まるよう計画的に支援することが必要となる。