The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA072] 子どもの気質と対人場面での自己制御の発達

母親の分離不安・育児ストレスに与える影響を考える

水野里恵 (中京大学)

Keywords:気質, 分離不安, 育児ストレス

問 題
就学前期に子どもが示すようになる自己制御行動の2側面(自己実現的側面・自己抑制的側面)の発達過程について,以下の3点を検討する。(1)就学前期において2側面は均等な発達を遂げるのだろうか。(2)2側面は乳幼児期に測定された子どもの気質(行動的抑制傾向・エフォートフル・コントロール)から影響を受けているのだろうか。(3)母親の分離不安や育児ストレスと子どもの気質・自己制御行動とに関連はあるのだろうか。
方 法
A市内5区の住民基本台帳から無作為抽出した第一子がいる家庭500名に対して質問紙を配布した。2011年から2014年までに計4回の質問紙調査を実施した。本稿においては,4回のすべてのデータが揃った67名(男児28名,女児39名)を分析対象とした。各調査時点における子ども(67名)の平均月齢は,第1回:11.6ヶ月齢(SD=3.57),第2回:21.3ヶ月齢(SD=3.54),第3回質:40.5ヶ月齢(SD=3.61),第4回:51.7ヶ月齢(SD=4.01)であった。各調査時点で子どもの行動的抑制傾向とエフォートフル・コントロールの気質測定を行った。第3回・4回調査では子どもの自己制御行動の測定を,第4回調査では母親の分離不安・育児ストレスの測定を行った。
結果と考察
⑴ 自己制御行動の2側面の発達
第4回調査時点での対人場面での自己制御の2側面を測定する尺度を,第3回調査時点と同様の手順で(同じ質問項目を加算して(教育心理学会第56回総会論文集(2014)))作成した。40ヶ月齢から52ヶ月齢にかけて自己制御行動の2側面に発達が見られるかを検討するため,2時点(被験者内)*性別の2要因の分散分析を行った(表1)。
自己実現的側面においては,性別・時点の主効果・交互作用共に認められなかった。自己抑制面には性別の主効果・時点間の主効果が認められた。女児が男児より,52ヶ月齢時点の方が40ヶ月齢時点より有意に高かった。
⑵ 自己制御の2側面と気質との関連
50ヶ月齢時点で子どもが示す自己制御行動の2側面と乳幼児期の気質との相関を表2に示した。行動抑制的傾向が低い子ども(引っ込み思案ではない子ども)ほど50ヶ月齢で対人場面でリーダーシップをとったり自己を表明する傾向が強いことがわかった。また,エフォートフル・コントロールが高い子どもほど自己抑制的側面の発達が進んでいることがわかった。
⑶ 母親分離不安・育児ストレスと子どもの気質・自己制御行動との関連
子どもの気質や子どもが示す自己制御行動と母親分離不安や育児ストレスが関連しているかを調べるため,相関を求めた(表2)。エフォートフル・コントロールが低かったり,自己制御行動の抑制面が遅れている子どもの母親ほど育児ストレスが高くなっていた。

本研究は科学研究費補助金(基盤研究(B):課題番号21330156)・科学研究費補助金(基盤研究(C):課題番号26380909)による助成を受けた。