The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表

ポスター発表 PB

Wed. Aug 26, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PB012] 後悔経験に関する発達的検討

小学生と中学生の傾向について

廣田信一 (山形大学)

Keywords:後悔経験

私たちは日常生活において,「あの時ああすればよかった」「~していなければ」といった後悔を経験している。このように「もし,~だったら…」のような自分が選択したものと選択しなかったものの結果を比較する時,現実と異なる事態を想像することは反実思考(Counterfactual thinking)と呼ばれ,「後悔」は反実思考の文脈で研究されてきた。それに加えて後悔には結果の全体的な評価としての後悔(結果後悔:~したことあるいはしなかったことを後悔している)や,劣った選択肢を選んだことによって生じる後悔(選択後悔:他の選択肢を選んでおけばよかった),失敗の原因を自己に求めるために生じる後悔(自己非難後悔:自分の判断が間違っていた)などが指摘されてきており,厳格には反実思考とは呼びにくい後悔も存在していることが示唆されている。
本研究においては,後悔を基本的には反実思考が使用されたものとしながらも,より広義に選択における後悔を含めて,それらの経験を研究対象とした。
【方 法】
小学生に実施可能な後悔に関連する項目を先行研究や現役教師の意見を参考に20項目からなる後悔経験尺度を作成した(5件法)。小学校4年生77名,中学校1 年生から3年生190名(中学1年生65名,中学2年生60名,中学3年生65名)の計267名が調査に参加した。
【結果と考察】
後悔経験尺度に対して因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行ったところ,3因子(10項目)が抽出された。それぞれ第1因子は過去における選択そのものを後悔する内容の項目に高い正の負荷量を示していたため,「選択後悔」因子と命名した。第2因子は結果が出た後に他より良いものを求める内容の項目に高い正の負荷量を示していたため,「最善欲求」因子と命名した。第3因子は結果が生じる前に行うことが望ましいことがわかっていたと考えられる後悔の項目で構成されているため,「過去志向」因子と命名した。その後学年を独立変数とする被験者間要因の1要因分散分析を行い,主効果が見られた項目ではTukey法による多重比較を行った (Table 1参照)。
その結果,多くの項目で年齢差は見られなかった。このことからかなり低い年齢で後悔経験を認識していることが推測された。