[PB023] 児童生徒との対人関係性発達への気づき
「栄養教諭」教職課程履修生
キーワード:教職課程, 対人関係性, 栄養教諭
問題
思春期から青年期を生きる児童生徒の学校生活における今日的課題の一つである不登校に関して,小池・伊藤(2008)は,多くの児童生徒は自らが心理社会的危機を代理経験することの潜在的不安感を有することを示唆する。アイデンティティの形成過程では心理的葛藤の自己調節機能の発達と,対人関係の基礎となる乳幼児期からの親子関係の捉え直し作業が行われる。そのため健やかな心身の成長・発達を支援する存在として,児童生徒に身近な学級担任教諭に限らず,学校現場において成績・評価をしない教員として,養護教諭,栄養教諭の役割期待は増して来ている。小沢・上原(2012)では,「養護教諭」教職課程履修生を対象にして,教育実習で学びたいことと学んだことを尋ねた。子どもとの関係に関しては,「一人ひとりの子どもの特徴を理解し,受容しながら適切に対応する大切さ学んだ」などの記述が挙げられ,教育実習前の「子どもとの相談の仕方」から,実習後の「子どもとのコミュニケーション」への視点の変化が示唆された。本研究では,専門性を生かしたきめ細かな指導・助言を行う,食に関するカウンセラーとしての役割が期待される「栄養教諭」の教職課程生履修生を対象とする。ここでは,教育実習後の児童生徒との対人関係性の発達への気づきのあり方を知ること,今後の指導の一助とすることを目的とする。そのため科目「教育実践演習」におけるロール・プレイングを用いた事例検討後の自由記述に関する検討を行う。
方法
〔対象者〕:教職課程履修生:4年生女子9人(実習校の種別:小学校4人,中学校5人)。〔手続き〕:教育実習の体験より,校種別2グループごとに,一人ひとりにとっての気になる子をテーマに事例を挙げ話し合う。グループごとにロール・プレイングの企画をする。具体的な場面設定,登場人物の割り振り等を行い,演じ終えた後の感想を述べ,最後に全体を通しての感想を記述して提出する。
結果
ここでは,「自己の役割演技における気づき」と「栄養教諭の存在・行動に関する気づき」に関する記述を取り挙げ,3つの観点から分類した(c.f.,小畑・伊藤, 2001)。児童生徒の理解・指導において重要だと感じられる「A:感情」「B:行動」「C:援助的意味」(一致率:81.2%)。小学生Gは「気持ち・情緒」に関する語句(35件)が,中学生Gは「かかわり」「気持ち・情緒」「人・人間関係」「事例理解」(12~15語)が多かった。3分類の語句数の偏りは小学生Gで有意傾向(χ2=(22)33.07,p<0.1†),中学生Gは有意だった(χ2(20)=31.81,p<0.05*)。また,BとCではグループ間で有意差があった(χ2(10)=22.99,p<0.05*,χ2(12)=34.95,p<0.01**)。つぎに,KH Coderによるリストアップされた語を用いて特定の語と関連が強い語のネットワークを示す共起ネットワークをここでは図1の例を示す。
考察
栄養教諭の教職課程履修生は,たとえば行動面からは,食についての声かけなどを通して,児童生徒個々の心について共感的な姿勢・寄り添うかかわりなどの観点から気づきを得ていると考えられた。とくに小学生Gは情動的体験の共有が,中学生Gは対応,共感,調整,理解など多視点的な生徒指導と理解が特色であることが考察された。
思春期から青年期を生きる児童生徒の学校生活における今日的課題の一つである不登校に関して,小池・伊藤(2008)は,多くの児童生徒は自らが心理社会的危機を代理経験することの潜在的不安感を有することを示唆する。アイデンティティの形成過程では心理的葛藤の自己調節機能の発達と,対人関係の基礎となる乳幼児期からの親子関係の捉え直し作業が行われる。そのため健やかな心身の成長・発達を支援する存在として,児童生徒に身近な学級担任教諭に限らず,学校現場において成績・評価をしない教員として,養護教諭,栄養教諭の役割期待は増して来ている。小沢・上原(2012)では,「養護教諭」教職課程履修生を対象にして,教育実習で学びたいことと学んだことを尋ねた。子どもとの関係に関しては,「一人ひとりの子どもの特徴を理解し,受容しながら適切に対応する大切さ学んだ」などの記述が挙げられ,教育実習前の「子どもとの相談の仕方」から,実習後の「子どもとのコミュニケーション」への視点の変化が示唆された。本研究では,専門性を生かしたきめ細かな指導・助言を行う,食に関するカウンセラーとしての役割が期待される「栄養教諭」の教職課程生履修生を対象とする。ここでは,教育実習後の児童生徒との対人関係性の発達への気づきのあり方を知ること,今後の指導の一助とすることを目的とする。そのため科目「教育実践演習」におけるロール・プレイングを用いた事例検討後の自由記述に関する検討を行う。
方法
〔対象者〕:教職課程履修生:4年生女子9人(実習校の種別:小学校4人,中学校5人)。〔手続き〕:教育実習の体験より,校種別2グループごとに,一人ひとりにとっての気になる子をテーマに事例を挙げ話し合う。グループごとにロール・プレイングの企画をする。具体的な場面設定,登場人物の割り振り等を行い,演じ終えた後の感想を述べ,最後に全体を通しての感想を記述して提出する。
結果
ここでは,「自己の役割演技における気づき」と「栄養教諭の存在・行動に関する気づき」に関する記述を取り挙げ,3つの観点から分類した(c.f.,小畑・伊藤, 2001)。児童生徒の理解・指導において重要だと感じられる「A:感情」「B:行動」「C:援助的意味」(一致率:81.2%)。小学生Gは「気持ち・情緒」に関する語句(35件)が,中学生Gは「かかわり」「気持ち・情緒」「人・人間関係」「事例理解」(12~15語)が多かった。3分類の語句数の偏りは小学生Gで有意傾向(χ2=(22)33.07,p<0.1†),中学生Gは有意だった(χ2(20)=31.81,p<0.05*)。また,BとCではグループ間で有意差があった(χ2(10)=22.99,p<0.05*,χ2(12)=34.95,p<0.01**)。つぎに,KH Coderによるリストアップされた語を用いて特定の語と関連が強い語のネットワークを示す共起ネットワークをここでは図1の例を示す。
考察
栄養教諭の教職課程履修生は,たとえば行動面からは,食についての声かけなどを通して,児童生徒個々の心について共感的な姿勢・寄り添うかかわりなどの観点から気づきを得ていると考えられた。とくに小学生Gは情動的体験の共有が,中学生Gは対応,共感,調整,理解など多視点的な生徒指導と理解が特色であることが考察された。