The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PB

Wed. Aug 26, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PB045] 大学生用「他者への働きかけ力」尺度の開発

実験・実習場面に注目して

石田拓矢1, 庄司正実#2 (1.東京電機大学, 2.目白大学)

Keywords:他者への働きかけ力, 大学生

問題と目的
大学教育の質の転換が図られている。河合塾(2010)は,世界的な大学教育の流れの中で「学習者中心の教育」の模索が本格化している,すなわち「教員が何を教えたか」ではなく「学生が何をできるようになったのか」を基準として教育を考える場合,講義形式の授業だけではなく学生が能動的に授業に参加する授業形態が今まで以上に求められることとなると指摘している。このように大学教育の質の転換が図られるようになったのは,求める人材を大学教育において育成できていないという社会からの要望による。それに応えようと,多くの大学においてPBL(Project or Problem Based Learning)型授業などのアクティブ・ラーニングが導入されている。その特徴は,少人数でグループを作り,協力して課題に対して取り組むことである。他者と協同して問題発見・解決する機会は,社会から特に大学生が不足していると見られている能力を醸成することに繋がると期待される。経済産業省の平成24年度総合調査研究キャリア教育の内容の充実と普及に関する調査報告書において,新入社員の「他人に働きかけ巻き込む」は「求める水準に達している者は少ない」が45.1%となっている。このように,大学教育の質的変換が進み始めているが,教育による効果が,社会が求める水準に達しているかについては,常に把握し,教育に反映させていく必要がある。しかし,その教育効果を測定するための尺度がない。そこで,本研究の目的は大学生における実験・実習場面に注目した「他者への働きかけ力尺度」を開発し,その信頼性,妥当性を確認することである。
方法と結果
尺度の開発は,教育による効果が,社会が求める水準に達しているかを測定することを目的としていることから,経済産業省が提唱している『社会人基礎力』を再構成した形で行い,「主体性」,「発信力」,「傾聴力」,「柔軟性・状況把握力」の4つの能力を基に24項目から構成される大学生用「他者への働きかけ力」尺度を作成した。作成した尺度を用いて,首都圏私立A大学心理学科および私立B大学工科系学科の学生を対象に,2014年6月から7月に調査を行った。A大学の学生は322名(男性109名,女性213名,1年生118名,2年生126名,3年生65名,4年生13名,M=19.4歳(SD=1.45)),B大学の学生は629名(男性554名,女性75名,1年生189名,2年生176名,3年生224名,4年生40名,M=19.75歳(SD=1.49))であった。信頼性の確認を行ったところ,「主体性」5項目はα=.833,「発信力」6項目はα=.848,「傾聴力」6項目はα=.820,「柔軟性・状況把握力」7項目はα=.806と,十分な信頼性を有していた(Table 1)。