The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PB

Wed. Aug 26, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PB055] 日本版KABC-IIの尺度構成と信頼性

服部環1, 藤田和弘#2, 石隈利紀3, 青山眞二#4, 熊谷恵子5, 小野純平6 (1.法政大学, 2.九州保健福祉大学, 3.筑波大学, 4.北海道教育大学, 5.筑波大学, 6.法政大学)

Keywords:認知能力検査, KABC-II, 信頼性係数

日本版KABC-II(Kaufman・Kaufman・日本版KABC-II制作委員会, 2013)は日本版K-ABCを改訂した個別式認知能力検査である。2歳6ヶ月から18歳11ヶ月までの子どもを対象とする。本稿は日本版KABC-IIの尺度構成とその信頼性係数および信頼区間について報告する。
KABC-IIの尺度と下位検査
日本版KABC-IIには総計20の下位検査があり,2つのモデルに依拠して検査結果を解釈する。
⑴カウフマンモデル 総計11の下位検査で4つの認知尺度,さらに,総計9の下位検査で4つの習得尺度を構成する。認知尺度と習得尺度の因子構造は,それぞれ確認的因子分析により,仮説構造との適合性が確認された。
⑵キャッテル-ホーン-キャロル(CHC)モデル 確認的因子分析を用い,CHCモデルの7因子構造を総計20の下位検査へ適合させた結果,視覚処理(Gv)へ負荷すると仮定された「絵の統合」は,5歳以上では結晶性能力(Gc)に対して負荷が大きかった。そのため,全年齢を通して同一の「視覚処理(Gv)」因子を仮定するのは困難であると判断し,「絵の統合」を利用しないこととした。
尺度名(括弧内はCHCモデルに基づく広範的能力名)と下位検査は以下の通りである。
・継次尺度(短期記憶/Gsm):数唱,語の配列,手の動作
・同時尺度(視覚処理/Gv):顔さがし,絵の統合(カウフマンモデルのみ),近道さがし,模様の構成
・計画尺度(流動性推理/Gf):物語の完成,パターン推理
・学習尺度(長期記憶と検索/Glr):語の学習,語の学習遅延
・語彙尺度(結晶性能力/Gc):表現語彙,なぞなぞ,理解語彙
・算数尺度(量的知識/Gq):数的推論,計算
・読み尺度:ことばの読み,文の理解
・書き尺度(CHCモデルでは読み尺度と合わせて読み書き/Grw):ことばの書き,文の構成
信頼性係数とその信頼区間
⑴折半信頼性係数 2歳~6歳の協力者数は750名,7歳~18歳の協力者数は1837名である。1歳刻みで算出した折半信頼性係数へフィッシャーのZ変換を施し,平均値と95%信頼区間(人数は下位検査によって異なる)を求めた(表1)。
⑵再検査信頼性係数 協力者(2歳~18歳)は64名,平均実施間隔は35.0日,尺度の平均再検査信頼性係数は0.81(範囲:0.65~0.89)である。
文 献
Kaufman, A. S.・Kaufman, N. L.・日本版KABC-II制作委員会 (2013). 日本版KABC-II 丸善出版