[PB060] 幼保連携型認定こども園における幼児の仲間関係
キーワード:認定こども園, 仲間関係
問題と目的
平成18年「就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が公布されて以降,全国で多くの幼保連携型認定こども園が誕生している。幼稚園籍の子どもと,保育園籍の子どもが同じ生活空間に存在する認定こども園では,幼児の仲間関係はどのような構造になっているのだろうか。また,その仲間関係は発達とともに変化するのだろうか。
本調査ではソシオメトリックテストを行い,幼稚園籍児にとっては2年目にあたる年中児,3年目にあたる年長児の仲間関係を保育園籍・幼稚園籍の違いに注目して把握することを目的とする。
仮説1:保育園籍の子どもと,幼稚園籍の子どもの仲間関係は独立している。
仮説2:年齢が高くなると,独立した仲間関係ではなくなる。
方 法
調査協力児 年中児30名(男児18名,女児12名,平均月齢59.07ヶ月,SD=2.89,幼稚園籍児18名,保育園籍児12名),年長児25名(男児13名,女児12名,平均月齢70.44ヶ月 SD=3.85,幼稚園籍児13名,保育園籍児12名)
調査時期 2014年9月
材料 被験者全員の顔写真。各クラスの名簿。
手順 個別面接法によりソシオメトリックテストを行った。調査協力児のクラスに合わせクラス全員の写真を一瞥できるように机の上に配置し,ラポールを形成した後に一緒に遊びたい相手とその理由を最大3名まで回答してもらった。
結 果
ソシオメトリックテストにより得られた調査協力児の被選択数について,調査協力児の籍(幼/保),学年(年中/年長)を被験者間要因,選択者(幼/保)を被験者内要因とする3要因混合計画の分散分析を行った。その結果,調査協力児(幼/保)×選択者(幼/保),調査協力児(幼/保)×選択者(幼/保)×学年の有意な交互作用が見られた(調査協力児×選択者:F (1, 51)=18.37,p<.01),調査協力児×選択者×学年:F (1,51)=12.61,p<.01,Table1)。下位検定の結果,年中児では幼稚園籍児が幼稚園籍児から遊びたい相手として選択される数が保育園籍児が選択される数よりも多く,保育園籍児が保育園籍児から遊びたい相手として選択される数が幼稚園児から選択される数よりも多かった。年長児ではこのような差は見られず(ps<.05),仮説は支持された。
考 察
年中児は幼稚園籍の幼児が幼稚園籍児を遊びたい相手として選び,保育園籍の幼児が保育園籍の幼児を遊びたい相手として選んでいた。一方で,このような差は年長クラスでは見られなかった。つまり,年長児は保育園籍,幼稚園籍に関わらず遊びたい相手を選択していることになる。認定こども園における年中児と年長児では友達にもとめるものが異なることから,このような年齢により違いが生じるのかもしれない。
本調査が対象としたのは年中・年長各1クラスである。今後は縦断的な研究を複数の園,クラスで行うことで,認定こども園における子どもたちの仲間関係をさらに検討していく必要がある。
平成18年「就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が公布されて以降,全国で多くの幼保連携型認定こども園が誕生している。幼稚園籍の子どもと,保育園籍の子どもが同じ生活空間に存在する認定こども園では,幼児の仲間関係はどのような構造になっているのだろうか。また,その仲間関係は発達とともに変化するのだろうか。
本調査ではソシオメトリックテストを行い,幼稚園籍児にとっては2年目にあたる年中児,3年目にあたる年長児の仲間関係を保育園籍・幼稚園籍の違いに注目して把握することを目的とする。
仮説1:保育園籍の子どもと,幼稚園籍の子どもの仲間関係は独立している。
仮説2:年齢が高くなると,独立した仲間関係ではなくなる。
方 法
調査協力児 年中児30名(男児18名,女児12名,平均月齢59.07ヶ月,SD=2.89,幼稚園籍児18名,保育園籍児12名),年長児25名(男児13名,女児12名,平均月齢70.44ヶ月 SD=3.85,幼稚園籍児13名,保育園籍児12名)
調査時期 2014年9月
材料 被験者全員の顔写真。各クラスの名簿。
手順 個別面接法によりソシオメトリックテストを行った。調査協力児のクラスに合わせクラス全員の写真を一瞥できるように机の上に配置し,ラポールを形成した後に一緒に遊びたい相手とその理由を最大3名まで回答してもらった。
結 果
ソシオメトリックテストにより得られた調査協力児の被選択数について,調査協力児の籍(幼/保),学年(年中/年長)を被験者間要因,選択者(幼/保)を被験者内要因とする3要因混合計画の分散分析を行った。その結果,調査協力児(幼/保)×選択者(幼/保),調査協力児(幼/保)×選択者(幼/保)×学年の有意な交互作用が見られた(調査協力児×選択者:F (1, 51)=18.37,p<.01),調査協力児×選択者×学年:F (1,51)=12.61,p<.01,Table1)。下位検定の結果,年中児では幼稚園籍児が幼稚園籍児から遊びたい相手として選択される数が保育園籍児が選択される数よりも多く,保育園籍児が保育園籍児から遊びたい相手として選択される数が幼稚園児から選択される数よりも多かった。年長児ではこのような差は見られず(ps<.05),仮説は支持された。
考 察
年中児は幼稚園籍の幼児が幼稚園籍児を遊びたい相手として選び,保育園籍の幼児が保育園籍の幼児を遊びたい相手として選んでいた。一方で,このような差は年長クラスでは見られなかった。つまり,年長児は保育園籍,幼稚園籍に関わらず遊びたい相手を選択していることになる。認定こども園における年中児と年長児では友達にもとめるものが異なることから,このような年齢により違いが生じるのかもしれない。
本調査が対象としたのは年中・年長各1クラスである。今後は縦断的な研究を複数の園,クラスで行うことで,認定こども園における子どもたちの仲間関係をさらに検討していく必要がある。