日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PB

2015年8月26日(水) 13:30 〜 15:30 メインホールA (2階)

[PB062] サードエイジャーにおける児童支援活動への参加継続要因の検討

放課後子ども教室の地域ボランティア面接から

北原靖子1, 生駒忍2, 佐藤哲康3, 蓮見元子4, 川嶋健太郎5 (1.川村学園女子大学, 2.川村学園女子大学, 3.川村学園女子大学, 4.川村学園女子大学, 5.東海学院大学)

キーワード:放課後子ども教室, 地域ボランティア, サードエイジ

【問 題】
超高齢化社会を迎えたわが国では健康と経済自立を維持してサードエイジを迎えた者も増加しており,放課後子ども総合プラン(厚生労働省・文部科学省,2015)がめざす子育ち・子育て環境整備に向けては,こうした地域のサードエイジャーの協力が期待される。本調査では,現在放課後子ども教室に参加して有償ボランティア活動を行っている地域サポーターA氏に活動への参加経緯や過程についてインタビューを行って仮説的な図式化を試み,地域で子どもの見守り手を増やす手立てについて検討した。
【方 法】
調査協力者:A氏(60代前半,女性)。小学校教員経歴が20年以上,定年まで少し残して,子どもの教育に関わる社会貢献へ意欲を持って退職した。A放課後子ども教室(関東首都圏内,公設公営小学校敷地内設置,学童保育と一体的運営)開設当初から,月2回ペースで5年間にわたり読書普及活動を運営している。
方法:1回1時間程度で,①活動開始から現在までの浮き沈み(ライフライン作成),②退職後から参加までの経緯(ライフラインを遡って拡張),③活動上の困難と乗り越える工夫(KJ法)について,計3回の半構造化面接を行った(2014.5~8月)。③では補足的に活動仲間の面接も行った。
【結果と考察】
面接から作成した逐語録を元に,活動困難へのコーピングと環境・個人両対処資源を整理して,A氏の確認を得ながら図式化した(Figure1)。子どもと関わる経験も意欲も豊富なA氏でも,自由度の高い現場で多くの困難に出会っていた。しかし,うまく対処してリスク低減を目指すというより,自己実現の1ステップとして,ストレス経験を通じて成長を目指すProactive Coping(川島, 2007)を行っていた。また現場参加以前の時点で,退職後の自己実現テーマ決定と地域状況の把握に,多大な困難と試行錯誤を体験していた。場の困難を予測し低減を目指すだけでなく,サポーターの持つストレングスを十分に発揮してもらうという観点から,情報提供・環境整備してゆくことが有益であると考えられた。