[PB063] キャリア発達を促す教育課程のあり方
特別支援学校高等部生・定時制高校生・全日制高校生の言語表現分析を通して
Keywords:キャリア発達, 教育課程, 高校生
問題と目的
高校生の学校生活や教育課程は学校間で特色がある。つまり,校種によるそれらの違いがキャリア形成に影響を与えることが考えられる。そこで,特別支援学校高等部,定時制高校,全日制高校の1~3年生における「働くために大切なこと」への意識の違いを明らかにし,キャリア発達を促す教育課程のあり方を検討することを目的とした。
方 法
2012年10月に,公立の知的障害特別支援学校61名,全日制高校228名,定時制高校129名に対し,「働くために大切なことは何か」について自由記述にて回答してもらった。得られた自由記述をKH Coderを用いて,学校別の使用言語の分析を行い,特徴語を比較するとともに,コーディングルールを作成し,対応分析を実施した。
倫理的配慮
研究の主旨を説明し,学校長の承諾を得て実施した。回答の際には学級担任から自由意志で記述することを説明してもらった。
結 果
(1)特徴づけられる語
特別支援学校では挨拶や体力など基本的な生活に関わる言葉や報告・連絡・相談などの働く環境で必須と言われている言葉,定時制高校では精神力を表現する言葉,全日制高校では社会性に関わる一般常識を表現する言葉が目立ち,校種によって特徴語は違うことが明らかになった(Table 1)。
(2)言語表現と学校間の関係(対応分析)
対応分析の結果,特別支援学校高等部生は,学校生活,職業意識,自己理解,健康意識の言語表現周辺に布置された。定時制高校生は精神力の言語表現周辺に布置された。全日制高校生は一般常識や社会性に関連する言語表現,学力,人間関係,意志決定に関する言語表現周辺に布置された(Figure1)。
考 察
学校間の言語表現の傾向が明らかになり,校種による特色が表れていた。「働くために大切なこと」という言葉に対する反応として,特別支援学校高等部,定時制高校,全日制高校では職業に対するイメージが違うのだろうということが推察できる。このイメージの違いが将来の職業観や生き方につながっていくのではないだろうか。学校生活や教育課程の違いがキャリア形成に影響を与えることが示唆されるため,高校生ではキャリア発達が促進される職業教育のあり方を考え,教育課程の編成を検討する必要があるだろう。
付 記
本研究は平成24年度筑波大学大学院人間総合科学研究科に提出した修士論文の調査データの一部を使用し,再分析したものである。
高校生の学校生活や教育課程は学校間で特色がある。つまり,校種によるそれらの違いがキャリア形成に影響を与えることが考えられる。そこで,特別支援学校高等部,定時制高校,全日制高校の1~3年生における「働くために大切なこと」への意識の違いを明らかにし,キャリア発達を促す教育課程のあり方を検討することを目的とした。
方 法
2012年10月に,公立の知的障害特別支援学校61名,全日制高校228名,定時制高校129名に対し,「働くために大切なことは何か」について自由記述にて回答してもらった。得られた自由記述をKH Coderを用いて,学校別の使用言語の分析を行い,特徴語を比較するとともに,コーディングルールを作成し,対応分析を実施した。
倫理的配慮
研究の主旨を説明し,学校長の承諾を得て実施した。回答の際には学級担任から自由意志で記述することを説明してもらった。
結 果
(1)特徴づけられる語
特別支援学校では挨拶や体力など基本的な生活に関わる言葉や報告・連絡・相談などの働く環境で必須と言われている言葉,定時制高校では精神力を表現する言葉,全日制高校では社会性に関わる一般常識を表現する言葉が目立ち,校種によって特徴語は違うことが明らかになった(Table 1)。
(2)言語表現と学校間の関係(対応分析)
対応分析の結果,特別支援学校高等部生は,学校生活,職業意識,自己理解,健康意識の言語表現周辺に布置された。定時制高校生は精神力の言語表現周辺に布置された。全日制高校生は一般常識や社会性に関連する言語表現,学力,人間関係,意志決定に関する言語表現周辺に布置された(Figure1)。
考 察
学校間の言語表現の傾向が明らかになり,校種による特色が表れていた。「働くために大切なこと」という言葉に対する反応として,特別支援学校高等部,定時制高校,全日制高校では職業に対するイメージが違うのだろうということが推察できる。このイメージの違いが将来の職業観や生き方につながっていくのではないだろうか。学校生活や教育課程の違いがキャリア形成に影響を与えることが示唆されるため,高校生ではキャリア発達が促進される職業教育のあり方を考え,教育課程の編成を検討する必要があるだろう。
付 記
本研究は平成24年度筑波大学大学院人間総合科学研究科に提出した修士論文の調査データの一部を使用し,再分析したものである。