The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PB

Wed. Aug 26, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PB068] ADHD傾向を持つ青年の非向傾向と自己制御機能との関連について

DBDマーチ傾向と実行機能との関連を中心に

橋本秀美1, 荒駒真輝#2 (1.大阪樟蔭女子大学・大学院, 2.子供青少年育成支援協会)

Keywords:ADHD, 自己制御機能, DBDマーチ

問題と目的
本研究では,成人用エフォートフル・コントロール尺度(以下,EC尺度)を用いて,青年のDBDマーチ傾向と実行機能との関連について検討する。仮説「注意欠陥/多動性障害(以下,ADHD)傾向の高いものほど,ECに問題があり,反抗挑戦性障害(以下,ODD)傾向を高める。そして,ODD傾向の高さは行為障害(以下,CD)傾向を促進させる」について検証する。
方法:調査の手順
質問紙による調査を行い,質問紙はフェイスシート,ADHD-RS-Ⅳ日本語版,EC尺度日本語版,CD傾向尺度,ODD傾向尺度で構成された。質問紙の配布は2013年7月から10月。調査協力者は18歳~30歳までの男女で,有効データ数は男性578名,女性368(平均年齢20.40歳)であった。
結果と考察
因子分析の結果,ADHD-RS-Ⅳ日本語版では「集中困難」「多動性・衝動性」の2因子,EC尺度では「注意・先見性の制御」「行動始発の制御」「行動抑制の制御」の3因子,ODD傾向尺度は「ODD傾向」の1因子,CD傾向尺度は「ルール破り」「他罰的行為」の2因子が抽出された。共分散構造分析を用いて,仮説を検証した。その際,対象をADHD傾向あり群のみに絞った。仮説検証の結果,男性ADHD傾向あり群では,「集中困難」→「EC」→「ODD傾向」→「CD傾向」という流れが明らかとなった。しかし,女性ADHD傾向あり群においては,「集中困難」→「EC」という流れは確認できたが,「EC」→「ODD傾向」は確認できなかった。また,「ODD傾向」→「CD傾向」も確認できず,女性ADHD傾向あり群においては「ODD傾向」→「ルール破り」,「他罰的行為」とそれぞれ独立して影響していることが明らかとなった。また,男性ADHD傾向あり群では,重回帰分析の結果,「行動抑制の制御」の問題が「ODD傾向」と関連があることが明らかとなった。
以上の結果から,ADHD傾向→ODD傾向→CD傾向のDBDマーチ傾向における要因としての実行機能である「EC」の問題はADHD傾向のある男性においてリスク因であり,特に「行動抑制の制御」が大きな要因の1つであるということを示しているといえよう。一方で,ADHD傾向のある女性においては,ADHD傾向があると実行機能の問題が存在するが,実行機能の問題が要因となってODD傾向に至り,CD傾向へと重症化していくわけではなく,別の要因が関連してODD傾向へと至り,さらには「ルール破り」や「他罰的行為」といったより重い行為へと至るということを示しているといえよう。
今後の課題としては,様々な要因からDBDマーチ傾向を捉えること,保護者を対象とした聞きとり,あるいは質問紙調査も加えること,CDを正確に測定するために調査対象者を変える,あるいはODDに焦点化し,ODDへと至るリスク因あるいは保護因に着目することなどがあげられる。
・共分散構造分析による仮説検証結果(図1,図2),DBDマーチ傾向ありで,ADHD‐RS‐Ⅳ日本語版のカットオフポイントである14点を基準に,ADHD傾向あり群のみ(男性135名,女性125名)を対象とした。男性では,「集中困難」→「EC」→「ODD傾向」→「CD傾向」という流れが明らかになった。女性では,「集中困難」→「EC」→「ODD傾向」→「ルール破り」,「他罰的行為」という流れが明らかとなった。
・重回帰分析による詳細結果(「EC」から「ODD傾向」への流れが確認できた男性ADHD傾向あり群対象),「EC」下位尺度のいずれが「ODD傾向」に影響を及ぼしているかをより詳細に検討するため,重回帰分析を行った。その結果,「行動抑制の制御」→「ODD傾向」という関係が明らかになった。