The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PC

Wed. Aug 26, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PC010] 数学・現代文・社会における学習方略使用の比較

高校生を対象として

押尾恵吾 (法政大学大学院)

Keywords:学習方略, 教科間

問題と目的
Wolters & Pintrich(1998)やNeuenhaus, Artelt, Lingel, & Schneider(2011)の研究において,共通する尺度で複数科目を横断的に測定しているが,いずれも尺度の全項目の平均を使って科目間の相関をとり,それらを記しているにとどまる。押尾(2014)は,心理学の専門科目,統計学,外国語において,心理学専攻の学部生の精緻化方略や体制化方略やメタ認知方略などの使用頻度や有効性の認知が異なることを示した。本研究では,高校生においても,同様に教科による方略使用の差異が見られるか検討することを目的とする。また,特定の教科において,使用頻度が低くても有効性の認知が高い方略を見つけることで,介入価値のある方略を見つけることができると考えられる。
方 法
調査協力者 都内の私立高校の高校2年生 215名(女子105名,男子110名)を分析対象とした。
質問紙 押尾(2014)と同様に,リハーサル方略,体制化方略,精緻化方略,メタ認知的方略,教訓帰納方略の5つを下位尺度とした,方略尺度27項目を作成した。各項目において,社会,数学ⅠAⅡB,現代文の3場面に関して,使用頻度と有効性の認知について6件法で回答を求めた。
結果と考察
確認的因子分析の結果,適合度を低くしていたリハーサル方略を除外した。また,予備分析の結果,性差や順序効果はみられなかったためそれらの要因は込みにして,3(科目場面:数学,現代文,社会)×4(学習方略:体制化,精緻化,メタ認知的,教訓帰納)の被験者内2要因分散分析を行った。その結果,使用頻度(F(6,1284)=15.3, p<.01)と有効性の認知において(F(6,1284)=14.9, p<.01),交互作用が有意になった。
Table 1に示したように,体制化方略や精緻化方略は,使用頻度において国語や社会に比べて数学では低いものの,有効性の認知においては教科間に差が見られなかった。メタ認知的方略は,使用頻度においても有効性の認知においても,教科間に差が見られず,押尾(2014)と同様の結果が得られた。教訓帰納方略においては,メタ認知的方略であるものの,メタ認知的方略とは異なる結果が得られた。数学では使用頻度も有効性の認知も高いが,現代文では,使用頻度よりもかなり高く有効性を認知していることがわかった。
以上から,高校生においても使用頻度や有効性の認知に教科差が見られた。また,数学では体制化方略と精緻化方略を,現代文では教訓帰納方略の介入をおこなう価値がある可能性がある。