The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PD

Thu. Aug 27, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PD003] 中学生における相談相手の数・種類の違いに関する検討

学校への適応感,自己肯定感,仲間からのサポートに着目して

江角周子1, 庄司一子2 (1.筑波大学大学院, 2.筑波大学)

Keywords:中学生, 相談相手

問題と目的
悩みの相談に関する研究としては,被援助志向性と援助要請スキルや自尊感情などとの関連が援助を求める対象別に検討されてきている(例えば,本田・新井・石隈,2009)。本研究では対象別にではなく,相談相手として想定できる対象の数および種類の違いに焦点を当て,検討する。
具体的には,学校への適応感,自己肯定感,仲間からのサポートに着目し,相談相手として想定できる対象の数および種類の違いとの関連を検討することを目的とする。
方法
対象:首都圏公立中学校1校に通う中学1~3年生316名(男子170名,女子144名,不明2名)。
時期:2014年10下旬から11月上旬
内容:⑴青年用適応感尺度(大久保,2005)⑵自己肯定感尺度(江角・庄司,2012)⑶中学生用ピアサポート尺度(庄司・江角,2012)⑷相談相手:「困ったことがあったり悩んだりした時,そのことを誰に話してみたいですか。次のうち当てはまるものすべてに○を付けてください。」と教示した。具体的な選択肢は,同性の友人,異性の友人,先輩,きょうだい,家の人,担任の先生,教科の先生,保健室の先生,スクールカウンセラー(以下,SC),スクールサポーター(以下,SS)であり,加えて,その他(自由記述)も設定した。
結果・考察
まず,相談相手別に度数を検討したところ,最も多く選ばれたのは同性の友だちであり,240件であった。以下,相談相手の量および質的違いについて詳細に検討していく。
1.相談相手の数と他の変数との関連
相談相手として想定できる対象の数に関する新たな変数を作成し,他の尺度との相関を検討したところ,相関係数は最大で.30であり,弱い相関のみ確認された。このことから,単純に相談相手が多ければ学校への適応感が高いとは一概には言えないことが示唆された。そこで,つづいては相談相手の種類の違いに焦点を当て,検討していく。
2.相談相手の種類の違いと他の変数との関連
⑴ 相談相手の種類の違いによる群分け
相談相手の違いにより対象を群分けするため,同性の友人からSSまでの10の変数についてクラスタ分析(Ward法)を行ったところ,5群に分かれた。相談相手についての各変数を説明変数,抽出された5群を被説明変数とするχ2検定を行ったところ5群の特徴が次のように明らかになった。
A群:友だちと教師を相談相手として想定
B群:友だちと家族を相談相手として想定
C群:友だちのみを相談相手として想定
D群:教師やSC,家の人など幅広い大人を相談相手として想定
E群:SCのみを相談相手として想定
⑵ 5群と他の要因の関連
まず,性別および学年を独立変数,5群を従属変数とするχ2検定を行ったところ,有意な差が見られた。性別についてはB群では女子の割合が高く,E群では男子の割合が高かった。学年についてはD群において3年生の割合が高かった。
つぎに,各下位尺度を従属変数とする1要因分散分析を行ったところ,概ねE群よりもその他の群の方が得点が高い傾向が見られた(Table 1)。E群について,自由記述を見ると「誰にも相談しない」との回答が多く見られたため,日常的に会う人に対して相談したいと思わないことと学校への適応感の低さ,仲間からサポートを受け取っていないことに関連があることが推測される。
また,自己肯定感ではD群の得点が高く,サポートではA群・D群の得点が高くなっていたことから,教師を相談相手として想定できることには自己肯定感の高さおよび仲間からサポートを受け取っていることが関連していることが推測される。