The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PD

Thu. Aug 27, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PD027] 児童の積極的授業参加に関する研究(22)

教員養成課程の学生の捉える授業行動の背景要因

小平英志1, 安藤史高2, 布施光代3 (1.日本福祉大学, 2.岐阜聖徳学園大学, 3.明星大学)

Keywords:児童, 授業行動, 教員養成課程

布施ら(2006)は児童の積極的な授業参加行動が「注視・傾聴」「挙手・発言」「準備・宿題」の3つに集約されることを示した。以降,積極的参加行動と動機づけ,コンピテンス,パーソナリティ等との関連が検討されてきている。安藤ら(2013),布施ら(2014)は,現場で直接児童とかかわる教師たちが,児童の授業行動の背景にどのような要因があると捉えているのかを明らかにすべく,教師を対象とした面接を実施している。本研究では,教員養成課程の学生に実施した面接調査をもとに分析を試みる。
方法
教員養成課程の学生で教育実習を経験した37名(男性23名,女性14名,平均年齢22.35歳)を対象に半構造化面接を実施した。まず,実習経験や担当した学年について回答を求めた。積極的授業参加行動の定義を説明した後,「注視・傾聴(挙手・発言/準備・宿題)をよく行う児童には,どのような特徴があると思いますか。行わない児童には,どのような特徴があると思いますか。」という質問を各行動に関して行った。この他に印象に残る児童の行動,学年による差異,授業行動を促進する工夫等についても質問した。面接は2013年10月~2015年1月に実施された。
結果・考察
それぞれの行動に関する発話を形態素に分解(SPSS TAfSを使用)した後,安藤ら(2013),布施ら(2014)に準じてカテゴリを作成した。3つの積極的授業参加行動のそれぞれについてカテゴリの出現率を求め,CochranのQ検定を実施した(Figure)。その結果,「学力・理解度」,「自信・効力感」,「感情・気分」,「性別」,「家族・家庭」,「障害・虐待」のカテゴリにおいて行動による出現率の差異が有意であった。McNemar検定による多重比較(Ryan法,p<.05)を実施したところ,まず「学力・理解度」では,準備・宿題と比べて挙手・発言で言及が多く,「感情・気分」では挙手・発言が注視・傾聴及び準備・宿題よりも出現率が高かった。また,「家族・家庭」では注視・傾聴,挙手・発言よりも準備・宿題で出現率が高かった。さらに「障害・虐待」では挙手・発言と比較して注視・傾聴で言及が多かった。その他は多重比較で有意差が見られなかった。
注視・傾聴については,出現率は高くないものの障害や虐待に関する発話(21.62%)が見られた。発達障害やグレーゾーンなどの語句がその背景要因の説明として用いられやすかった。実習担当の教諭からも配慮事項として伝達されていることもあり,少なからず意識が向くと考えられる。挙手・発言では「学力・理解度」や「感情・気分」の出現率が高く,わからないから手を挙げない,勉強ができる子が発言しやすい,といった発話が多い一方で,恥ずかしさや不安,褒められたいといった児童の気持ちについても話が及びやすい傾向にあった。準備・宿題で特徴的であったのは,親や家庭環境といった語句が使用されやすい点であった。以上,各積極的授業参加行動が,特徴的な要因によって生じていると捉えられる傾向にあることが示された。