The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PD

Thu. Aug 27, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PD031] 保育士養成校の学生の乳児とのかかわりにおける一考察

鈴木えり子 (華頂短期大学)

Keywords:乳児体験, 気づき

【研究の課題と背景】
将来保育者を目指す学生自身にとって乳児とのかかわりは必要であることは言うまでもないが、現実問題として身近に乳児がおり直接かかわる経験はあまりないという現状がある。保育者としての質の向上を求められる保育士養成校としての役割として、さまざまな体験を通して子どもへ対応を直接学ぶ機会によって学生の育ちを考察し、今後の課題を明確にしたい。
【質問紙による体験前の結果】
(1)乳児との接触経験
保育体験以前に乳児と触れ合う経験の有無について、「まったくない」12人(42.8%)、「少しはあった」が11人(39.2%)、「かなりあった」は5人(17.5%)という結果であった。(回答数 1回生13名 2回生15名)
(2)乳児に対するイメージについて(自由記述)
・かわいいというだけのイメージから、大人の言葉を理解できている
・何もできないので一方的にしてあげることが多いと思いこんでいたが、自分でしようとすることが多く、ほめるとどんどんと意欲的になることがわかった
・自分の意思をしっかりと伝えようとする姿が見られる
・何を求めているかを読み取る保育者の力量が必要だとわかるとともに、毎日を一緒に過ごすことが大切だとわかった
(3)乳児との接触体験後の気持ちの変化
「変わらない」0人、「少し変化した」1人(4%)、「割と変化した」が5人(17.8%)、「かなり変化した」が22人(78.5%)という結果を得た。
【方 法】
乳児体験後の簡単な質問紙による調査では、乳児保育体験が学生自身には意味のあるものとなっているという結果を得た。
さらに、乳児との体験レポートを分析し、具体的にどのような体験になったのかを検討する。
【結果と考察】
乳児とのかかわりをKJ 法に準じて分析した。
6つの上位カテゴリーと13の下位カテゴリーが見られた。
上位カテゴリーでは、「情動的体験」が最も多くみられ、特に乳児が人見知りをして「泣く」という状態での体験が戸惑いや不安であるという記述が最も多く見られた。体験時間が短かったので無理もないとは思われるが、乳児の泣きに対してどのような対応を考えたかが重要である。
その次に多く見られた記述は、「乳児の特徴」に関するものである。
下位カテゴリーの中で最も記述が多かったのは、保育者に関することであり、乳児とのかかわり方の不安を解消するには、保育者のかかわり方を見ながらモデルとしたり、保育者から直接指導されたということが多かった。
乳児とのかかわり体験では、共感性、想像力、情動性も高まったと考えられる。
将来保育者を目指す学生にとって、乳児と直接かかわりが自分のかかわりを見直すきっかけになり、さらに、次にかかわりを考える機会になったと考察できる。
【課題】
今回はレポート提出をもとに分析を実施したが、今後は相互に体験を発表する、話し合うなど言語化することで、もっと体験は深まっていくのではないかと考える。