The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PD

Thu. Aug 27, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PD052] 大学生が直面する対人問題場面の分類

具体的状況と対象人物からの整理

西口利文 (大阪産業大学)

Keywords:コミュニケーション教育, 対人問題場面, 大学生

問題と目的
大学生を対象とした,コミュニケーション能力の向上を目指した教育プログラムの開発は,初年次教育やキャリア教育の充実につながる重要な課題のひとつである。そしてこうした教育プログラムのコンテンツとして,他者との関わる過程で実際に葛藤が生じる日常的場面を扱った,事例検討用の課題を準備することは,対象者が問題解決に向けた動機づけを高め,現実場面での対処能力を高めることにもつながると期待できる。本研究では,当該の教育プログラムの開発に先立ち,大学生が日常のコミュニケーションのなかで何らかの葛藤が生じうる場面を,対人問題場面と呼称する。そして現在の大学生が直面する代表的な対人問題場面を網羅的に抽出し,具体的な状況と対象となる人物という2つの観点から分類することを目的とする。
方法
調査対象者 大阪府内の私立大学生158名(平均年齢19.0歳)であった。
質問紙 A4用紙1枚の質問紙を用意した。紙面の冒頭には,大学入学以降で他者とコミュニケーションを行った場面のうち,何らかの葛藤が生じ,自らのコミュニケーション能力の向上の必要性を感じた代表的場面をひとつ想起するように,調査対象者に依頼する文章を示した。その上で,当該場面での ⑴具体的状況,⑵対象人物,⑶対象人物の言動,⑷調査対象者の言動,⑸実際のコミュニケーションで感じた問題,の5つの質問項目および自由記述用の回答欄を設けた。なお,本研究の分類は,⑴⑵の回答をもとにした。
結果と考察
回答に不備のあった26名分を除き,132名の回答を,対人問題場面の分類対象とした。その結果,対人問題場面の具体的状況については,「アルバイト先」を筆頭に,「大学の授業外」,「公共の場」,「家」といったカテゴリーに相当する回答が相対的に多く見られた。対象人物については,「友人以外の同世代の知人」,「アルバイト先の上司・同僚」,「アルバイト先の客」,「初対面の人」「友人」の回答が相対的に多く見られた(Table 1)。大学生を対象とした,コミュニケーション能力を高める教育プログラムの開発では,こうした具体的状況および対象人物を踏まえた対人問題場面を扱った事例検討用課題を準備することが有用であると考えられる。

*本研究は,JSPS科研費 25380904(研究課題名「大学生のコミュニケーションスキルを育む教育プログラムの開発」)の助成を受けたものである。